ビル・コンドンが監督、出演者にヘレン・ミレン、イアン・マッケラン、ジム・カーターという顔ぶれが揃っているだけで、まずクオリティ的に安心して観られます。タイトルからして、騙し合いが繰り広げられるのだろうと想像がつきますが、片方はわかりやすく詐欺師で、もう一方の手の内は終盤まで明かされないので、水面下で何が起こっているのか読み取るのは容易ではなく、良い意味で不気味なムードに引き込まれます。イアン・マッケランが演じるロイも、ヘレン・ミレンが演じるベティも知的なムードを漂わせていて、どこまで策略による言葉、態度なのか、見破るおもしろさもあります。クライマックスは畳みかけるように次々と真相が明らかになっていきますが、トリックの巧みさだけではなく、ドラマ性が色濃くなる点も含めて、観終わった後にはズッシリとストーリーの重みを感じられるはずです。主人公の年齢層は高いですが、誰が観ても楽しめるサスペンスです。
出会い系サイトで知り合った2人が主人公なので、似たようなシチュエーションで知り合ったカップルが観ると、複雑な気持ちになるかも知れません。相手とまだ信頼関係を築けておらず、何か引っかかる部分があるのに目を伏せているような状況で本作を観ると、余計な猜疑心が生まれる可能性があります。そういった場合は1人でじっくり観るか、仲の良い友達と観て、自身の現状把握のきっかけにするほうが良いでしょう。
年老いた男女の恋愛を通した駆け引きが繰り広げられるということで、キッズやティーンの皆さんには縁遠い話に思えるかも知れませんが、ストーリーそのものは主人公の年齢に関わらず、誰にでもわかる内容なので、あまり気にせずに観て欲しいと思います。もし自分の祖父母がこんな出来事に関わってしまったら…と考えても、リアルに感じられる内容です。
『グッドライアー 偽りのゲーム』
2020年2月7日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
TEXT by Myson
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