環境保護の活動家グレタさんのことは知っていましたが、彼女の詳しい背景について本作を観て知り、驚かされました。彼女が環境問題に目を向けたきっかけは、学校で観た映画だそうです。今どんどん環境が破壊されていき、もう猶予がない状況を目の当たりにして、その後彼女はふさぎ込み、食べず話さずという状態で病気になり、何年もその状態が続いていたとのことです。そんな時期を乗り越えて、彼女は15歳で1人、学校ストライキを始めました。それは政治家が環境問題に力を入れるように選挙前に訴えるための活動です。その後の展開は本作を観ていただければと思いますが、徹底した態度を取り、権力者の前だろうが誰に対してだろうが強い言葉で訴える姿がとても印象的です。
彼女の活動は各国のニュースで取り上げられ、広く知られるようになりますが、そんな状況でも彼女の姿勢には一切のブレがありません。何のために活動をしているのか、それは環境のためであって目立ちたいわけでも何でもありません。それなのに、彼女がまだ若いこと、アスペルガー症候群であることなどを理由に、彼女の意見や活動を批判したりする人達も出てきます。それは、匿名の一般人だけではなく、いくつかの先進国の首脳だったりするところもショッキングです。これに耐えるのは並大抵のことではありません。たった1人の活動が世界中に広がったというプラスの面と同時に、環境を守りたいと純粋に訴える少女を非難したり脅迫したりする人が出てくるというマイナス面も、本作では同時に映し出されています。この状況を観ていると、環境問題に至る以前の問題も山積みであることがわかります。そして、大人達がいかに楽観主義に逃げて、責任を放棄しようとしているかも痛感させられます。正直なところ、日常でどうしても甘えが出てしまったり、頭ではわかっていても自分ではどうにもできないことだと結局諦めてしまうことのほうが多いですが、たった1人で始めてここまでのムーブメントを起こしたグレタさんの姿そのものが、「やればできる」と証明していると感じられるドキュメンタリーです。できることから少しずつ取り組まなければいけないですね。
プラスチック製品が氾濫していること、温暖化現象がひどくなってきていること、地球の資源がなくなってきていることなど、環境問題は私達の生活と密接に繋がっています。今日明日は今まで通りに暮らせるかもしれませんが、数年後にどうなっているかはわかりません。もし真剣に交際している相手がいたら、生活を共にする場合、そういうところの価値観やスタンスも大きな影響があるでしょう。本作を一緒に観て、どんな意見を持っているかお互いに知ることで、一緒に暮らしていけそうかどうかもシミュレーションできるのではないでしょうか。
皆さんはグレタさんと同世代なので、余計に彼女が持つ危機感や大人に対する苛立ちや絶望がとても身近に思えるでしょう。皆さんが大人になった時、今とどう変わってしまうかはわかりません。それは何十年も先のことではなくなっていることは、大人も含めて、おかしな気候や自然災害の多さなどから皆気付いていることだと思います。大人が1番責任を感じて行動すべきなのはもちろんですが、ぜひ皆さんも今からこういった状況を知っておいて欲しいと思います。
『グレタ ひとりぼっちの挑戦』
2021年10月22日より全国順次公開
アンプラグド
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TEXT by Myson