最悪な事態に何度も追い込まれる主人公ハロルドが、ギリギリのところで悪運に救われる様子は、ハラハラドキドキさせられつつ、その強すぎる悪運に笑っちゃうはず。シャーリーズ・セロンとジョエル・エドガートンが演じる経営者が本当に自己中心的で、真面目に働く善人ハロルドが痛い目に遭ってばかりという設定は、弱肉強食の現実社会の縮図を観ているようですが、ハロルドを始め、周囲の人達がどんどん欲や反骨精神をむき出しにして、やったらやり返すを繰り返すので、ドタバタ劇を観る感覚で気楽に観るのも楽しいです。悪運じゃなくて、幸運が欲しいなとつくづく思ってしまうストーリーではありますが、悪運を武器にして、人生を立て直そうとするハロルドから元気をもらえます。最後はスカッとして、ホッコリしますので、安心して観てください。
ハロルドと同じように社員として働く人なら、仕事でむしゃくしゃしている時にデートで観ると、ハロルドに感情移入し過ぎて少々割り切って観られないところが出てくるかも知れません。でも、ハロルドが反撃を開始したあたりから、応援する気持ちで観ると、だんだん「もう、どうにでもなれ!」という吹っ切れた感覚が得られる部分もあるでしょう。デートのムードが盛り上がるようなロマンチックな展開はほぼありませんが、デートでも気楽に観られる作品です。
PG-12なので、大人と一緒なら観られますが、大人達の醜いやりとりが描かれているので、大きくなってから、さらに言うと働き始めて何年かしてから観るほうがリアリティのある部分と、映画的に描かれている部分とを区別しながら、楽しめると思います。悪い大人も出てきますが、皆が皆こうではないので、良いお手本のほうに目を向けて欲しいと思います。
『グリンゴ/最強の悪運男』
2020年2月7日より全国公開
PG-12
キノフィルムズ、木下グループ
公式サイト
TEXT by Myson
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