REVIEW

母さんがどんなに僕を嫌いでも

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』太賀/吉田羊

実話をもとにしたフィクションということで、一部は実際の出来事とは異なる部分があるとはいえ、主人公が母親から受けた仕打ちは本当に辛いもので、よくこの状況でまっとうに成長したなと信じられません。でも、本作の魅力は虐待されて苦労した主人公の物語だけで終わらず、そんな母でもずっと愛し続けた主人公が母を理解しようとして努力し、母の気持ちも観る側が想像できるように描かれているところです。親子だからこそお互いに譲らないところもあるし、人を変えるというのは本当に難しいですが、それを諦めずに突き進んでいく主人公の強さと明るさ、包容力に希望と勇気をもらえます。また同時にやっぱり周囲の支えがいかに必要だということにも気付かせられるストーリーで、辛い内容ながら人の温かさに救われる作品になっています。そして、自己肯定感の重要性も実感。主人公が幼い頃から唯一頼れる“ばあちゃん”が、成長した主人公に投げかける言葉はとても印象的で胸を打ちます。主演の太賀、母親役の吉田羊、主人公の友人役の森崎ウィンの演技も見事で、母親視点、子ども視点、周囲の視点、どの視点からもいろいろと考えさせられる作品です。

デート向き映画判定
映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』太賀/森崎ウィン

実話がベースで深くて重い内容なので、デートで観るムードには合わないと思いますが、こういう作品を一緒に観るという経験を共有することはカップルにとって有意義だと思います。自然に家族の話をしたくなると思うので、本作をきっかけにお互いのことをもっと知ることができるかも。逆に話したくないという雰囲気になったら、無理に聞きだそうとせずに、困った時に支えられる気持ちを持てれば良いと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』太賀/吉田羊

大好きなお母さんから虐待を受けてきた主人公のストーリーなので、年齢を問わず誰が観ても辛い内容ではあります。虐待かどうかはわからなくても、家族から冷たくされている人なら、他人事として観られないくらい辛いと思います。辛い思いをしている本人に、大人の事情、虐待をする人の事情をわかって欲しいというのではなく、まずは周囲の人間が知っておくべき事実であり、どうやって支えるべきかを考えるきっかけに観て欲しいと思います。

映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』太賀/吉田羊/森崎ウィン/白石隼也/秋月三佳

『母さんがどんなに僕を嫌いでも』
2019年4月24日よりDVD発売、レンタル開始、4月10日デジタル配信開始
KADOKAWA
公式サイト

©2018 「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『デューン 砂の惑星PART2』ゼンデイヤ ゼンデイヤ【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月1日生まれ。アメリカ出身。

映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック チネチッタで会いましょう【レビュー】

タイトルに入っている“チネチッタ”とは…

Netflixドラマ『さよならのつづき』有村架純/坂口健太郎 ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き22】2024年11月後半「気になる映画とオススメ映画」

今回は、2024年11月後半に劇場公開される邦画、洋画、Netflixの最新ドラマについてしゃべっています。

映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ Back to Black エイミーのすべて【レビュー】

類稀な才能を持つ歌姫エイミー・ワインハウスは、2011年7月、27歳の若さで逝去…

映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー 『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー

真面目な公務員と天才詐欺師チームが脱税王との一大バトルを繰り広げるクライムエンタテインメント『アン…

映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ ドリーム・シナリオ【レビュー】

ニコラス・ケイジ主演、『ミッドサマー』のアリ・アスターとA24が製作、さらに監督と脚本は『シック・オブ・マイセルフ』のクリストファー・ボルグリと聞けば、観ないわけには…

映画『海の沈黙』菅野恵さんインタビュー 『海の沈黙』菅野恵さんインタビュー

今回は『海の沈黙』であざみ役を演じ、これまでも倉本聰作品に出演してきた菅野恵さんにお話を伺いました。本作で映画初出演を飾った感想や倉本聰作品の魅力について直撃!

映画『六人の嘘つきな大学生』浜辺美波/赤楚衛二/佐野勇斗/山下美月/倉悠貴/西垣匠 六人の嘘つきな大学生【レビュー】

大人になると、新卒の就活なんて、通過点に過ぎないし…

映画『トラップ』ジョシュ・ハートネット ジョシュ・ハートネット【ギャラリー/出演作一覧】

1978年7月21日生まれ。アメリカ、ミネソタ州出身。

映画『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』ブレイク・ライブリー ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US【レビュー】

「ふたりで終わらせる」というタイトルがすごく…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『淪落の人』アンソニー・ウォン/クリセル・コンサンジ 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.2

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』ムロツヨシ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内40代編】個性部門

個性豊かな俳優が揃うなか、今回はどの俳優が上位にランクインしたのでしょうか?

映画『あまろっく』江口のりこ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内40代編】演技力部門

40代はベテラン揃いなので甲乙つけがたいなか、どんな結果になったのでしょうか。すでに発表済みの総合や雰囲気部門のランキングとぜひ比較しながらご覧ください。

REVIEW

  1. 映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック
  2. 映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ
  3. 映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ
  4. 映画『六人の嘘つきな大学生』浜辺美波/赤楚衛二/佐野勇斗/山下美月/倉悠貴/西垣匠
  5. 映画『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』ブレイク・ライブリー

PRESENT

  1. 映画『バグダッド・カフェ 4Kレストア』マリアンネ・ゼーゲブレヒト/CCH・パウンダー
  2. 映画『型破りな教室』エウヘニオ・デルベス
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP