大学生の日常を描いた会話群像劇で、等身大の若者の心が見てとれるストーリーとなっています。別れてからも同棲は続けているカップルや、その2人と三角関係のような微妙な状態に陥っている女の子、大学時代から交際しているものの煮え切らない状態が続いているカップルなど、どのキャラクターもややこしい状況に置かれています。前に進みたいのか進むのが怖いのか、モジモジしている彼等の姿はもどかしくもあり、愛おしくもあります。だからこそ、彼等がどんな結末を迎えるのか気になる展開となっています。
また、良い意味で「もう〜面倒くさいな(笑)!」とツッコミたくなる会話が豊富で、思わずその会話に入りたくなります。同時に確かに大学生の頃ってこういうノリだったなと思えて、今大学生くらいの年頃の方も既に大人になった方も共感できると思います。また大人目線ではこういう“中途半端”を満喫できるのはこの頃の特権だなと思えて、どこか微笑ましくも感じます。
構成にも工夫があって、クライマックスでカラクリが明かされます。ラブストーリーとしてはもちろん、青春映画としても、等身大で共感できるストーリーです。
キャラクター達と同じ状況にない方にとっては「何やってんだか〜」と微笑ましく観られますが、似たような状況に陥っている場合は、自分達の関係や未来を客観視して今後の関係を見直すことになるかもしれません。ですので、1人でじっくり観るか、友達と観るほうが気楽に楽しめるように思います。でも、劇中のカップルの状況や会話の内容について鑑賞後に話したくなる要素が多いので、友達と観るのが1番良さそうです。
恋愛って何だろうと手探りしている感覚も含めて、キャラクター達と同年代の皆さんは共感できると思います。皆さんも恋をすると、「一般的な恋愛関係のイメージに基づくと、これって変なの?」と思うことが出てくるかもしれませんが、若いうちはいろいろと試行錯誤できる時期なので、本作のキャラクターのように思うがままに日々を過ごしてみるのも良いのではないでしょうか(笑)。
『階段の先には踊り場がある』
2022年3月19日より全国公開
レプロエンタテインメント
公式サイト
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TEXT by Myson