2020年の東京オリンピック後の、貧富の差がさらに激しくなった日本を舞台に、失業者の増加や物価の異常な高騰など、現実の私達の世界を予言するストーリーになっています。舞台となる日本社会では、少数の搾取する側と、多数の搾取される側にハッキリ分かれていて、生活苦にあえぐ人々をおもちゃのように扱うゲームが開催され、主人公カイジはあるきっかけでそこに挑んでいきます。今作では一攫千金を巡る4つのゲームが用意されていて、勝つと天国、負けると地獄である両極端な設定は、シリーズ前作よりもレベルアップしています。また、ギャンブルの対価はカイジ本人だけではなく、日本全体に影響を及ぼすレベルの話で、物語のスケールも拡大。一つのゲームに絡む人達も複数いて、とても凝ったカラクリが展開されます。そのゲームだけ見た時の勝敗に終わらず、その背景まで計算が尽くされている点でも見事で、「なるほど!」と思う爽快なシーンが段階ごとに組まれています。脳のトレーニングにもうってつけの作品です。
そして、主演の藤原竜也をはじめ、福士蒼汰、新田真剣佑、吉田鋼太郎、松尾スズキ、生瀬勝久、天海祐希、山崎育三郎、瀬戸利樹、伊武雅刀と若手人気俳優からベテラン俳優までキャストが豪華。ファイナルにふさわしい派手さも魅力となっています。
ラブストーリーの要素は全くなく、どんな関係のカップルでも観やすい内容です。人気のシリーズで知名度もあり、続編とはいえ前作を知らなくても全く問題がない構成なので、シリーズとして今作から観るという人を誘っても大丈夫です。ギャンブルのお話で主人公が痛快に勝つのが魅力ですが、ギャンブル好きで借金をしている人の場合は、間違ったほうに刺激を受ける可能性がなきにしもあらずなので、その点だけ注意しましょう。ただデートで観なくても本人が自分で観る可能性もありますが…(苦笑)。
カイジはどこまで先手を取るか、どんな準備をしておくかなど、かなり頭を使っていて、その方法を観るのはとてもおもしろいし、観ている側も少し頭が柔らかくなる感覚が心地良いです。とはいえ、カラクリは難しいことはなく、ついていける内容だと思います。ギャンブルにハマって欲しくはないですが、頭の体操として観るにはオススメです。
『カイジ ファイナルゲーム』
2020年1月10日より全国公開
東宝
公式サイト
©福本伸行 講談社/2020映画「カイジ ファイナルゲーム」製作委員会
TEXT by Myson