原作を読んだことはなく、タイトルだけでは、ポップなラブコメなのかと思っていましたが、意外にも良い意味で重さのある人間ドラマで、後半は主人公の成長物語としてとても共感します。また、主人公がある意味野性味たっぷりで、“隠れビッチ”感がふんだんに伝わってきますが、彼女がそうなった背景がジワジワと明かされていくと、ある意味彼女の防衛本能だったのではと思えてきます。そして、彼女が本当の恋に出会えるにはどうしたら良いのかという点で、シンデレラストーリーではなく、苦しみを伴う成長を描いていて、逆にラブコメが苦手という女子に響くのではないでしょうか。とにかく、主人公に対する印象は前半と後半でガラリと変わり、観ている側もある意味デトックスできるはずです。
前半に関しては、「女子って、怖っ!」と思われてしまうような内容ですが、後半は恋愛観を問う内容になっていて、一歩下がって冷静に考えさせられるところがあります。なのでラブラブなカップルが観ると、逆にちょっとクールダウンしてしまう可能性がありますが、逆にラブラブ期間が過ぎて、ここからもっと親密になれるかどうかという時期にきているカップルは、良いお手本を観られると思います。
主人公の子どもの頃の辛い体験がストーリーの鍵となっているので、皆さんの年齢で観ると、よりシリアスに観てしまうかも知れません。子どもには抵抗できない運命といえるところもあるだけに、切ない部分もありますが、こういう経験をしたから絶対に将来こうなるということでもなく、主人公のように良い方向に変化できる可能性もあるとわかるので、前向きな姿勢で観て欲しいと思います。
『“隠れビッチ”やってました。』
2019年12月6日より全国公開
キノフィルムズ、木下グループ
公式サイト
TEXT by Myson
©2019『”隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社