REVIEW

かくしごと【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『かくしごと』杏/中須翔真

REVIEW

『かくしごと』というタイトルから、どういう隠し事が出てくるのだろうと予測しながら観る方も多いのではないでしょうか。ちなみに、北國浩二による原作は「噓」というタイトルで、どちらのタイトルも意味深でストーリーへの興味をそそります。私は最初からオチを予想しながら観て、早い段階で想像はつきました。でも、早く気づいても、最後にやっと気づいても、それぞれに違うおもしろさがあると思います。

映画『かくしごと』

最初に登場するのは、認知症を発症した里谷孝蔵(奥田瑛二)と、その父の介護で一時的に帰省した千紗子(杏)。この父娘の関係はこじれていて、親子関係が物語の1つの大きなテーマであると予想できます。そして、別の大きな展開が、その後すぐに意外な形で出てきて、孝蔵と千紗子の関係にも影響を与えていきます。本作には父と娘、母と息子の関係が描かれていて、その対比が絶妙です。とてもスリリングな展開と、心を打つ展開が同時に進行していく点も秀逸です。

映画『かくしごと』杏/中須翔真/安藤政信

そして、杏の演技も見ものです。強くて頼もしい母親のキャラクターはハマり役でありつつ、シリアスで重いシーンが多く、特に感情があふれ出るシーンでは俳優としての新たな一面を見られます。また、劇中の母親ぶりから、普段もこんな風に優しいお母さんなんだろうなとリアルに想像させられます。杏が演じる主人公以外もそれぞれ印象に残るキャラクターです。さまざまな視点でお楽しみください。

デート向き映画判定

映画『かくしごと』奥田瑛二/中須翔真

シリアスで重いストーリーなので、ロマンチックなムードになることは期待できないものの、見応えがあり、鑑賞後に一緒にストーリーを振り返りたくなる作品です。初デートで観るテンションではなさそうですが、何度か映画デートをしたことがあるカップルなら、一緒に観るのもアリでしょう。誰に感情移入しながら観たか話すのもおもしろそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『かくしごと』杏/中須翔真

本作にはキーパーソンとして子どものキャラクターも登場するので、自分ならどうするかリアルに想像しながら観ることもできるのではないでしょうか。子ども目線で観ると少し怖いと感じたり、複雑な気持ちになる部分もあると思います。親子の物語なので、家族で一緒に観ると、自分達の家族関係を振り返るきっかけになるかもしれません。

映画『かくしごと』杏

『かくしごと』
2024年6月7日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2024「かくしごと」製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト HERE 時を越えて【レビュー】

映像作家としてあらゆる挑戦を行ってきたロバート・ゼメキス監督は、本作でも新たな挑戦の成果を見せてくれています…

映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング アンジェントルメン【レビュー】

本作は「近年機密解除された戦時中の極秘ファイルを後ろ盾にしたダミアン・ルイス著 『Churchill’s Secret Warriors: The Explosive True Story of the Special Forces Desperadoes of WWII』」を原作としており…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年3月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年3月】のアクセスランキングを発表!

映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス 社会的成功が本当の幸せをもたらすとはいえない事例【映画でSEL】

昨今、ウェルビーイングという概念が広まりつつあり、社会的な成功は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという見方も出てきました。その背景を、「自己への気づき」(SELで向上させようとするスキルの一つ)に紐づけて考えてみます。

映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶 片思い世界【レビュー】

広瀬すず、杉咲花、清原果耶がトリプル主演を務める本作は、『花束みたいな恋をした』の脚本を手掛けた坂元裕二と、土井裕泰監督が再タッグを組んだ…

映画『神は銃弾』マイカ・モンロー マイカ・モンロー【ギャラリー/出演作一覧】

1993年5月29日生まれ。アメリカ出身。

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『HERE 時を越えて』トム・ハンクス/ロビン・ライト
  2. 映画『アンジェントルメン』ヘンリー・カヴィル/エイザ・ゴンザレス/アラン・リッチソン/ヘンリー・ゴールディング
  3. 映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬
  4. 映画『片思い世界』広瀬すず/杉咲花/清原果耶
  5. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP