REVIEW
『かくしごと』というタイトルから、どういう隠し事が出てくるのだろうと予測しながら観る方も多いのではないでしょうか。ちなみに、北國浩二による原作は「噓」というタイトルで、どちらのタイトルも意味深でストーリーへの興味をそそります。私は最初からオチを予想しながら観て、早い段階で想像はつきました。でも、早く気づいても、最後にやっと気づいても、それぞれに違うおもしろさがあると思います。
最初に登場するのは、認知症を発症した里谷孝蔵(奥田瑛二)と、その父の介護で一時的に帰省した千紗子(杏)。この父娘の関係はこじれていて、親子関係が物語の1つの大きなテーマであると予想できます。そして、別の大きな展開が、その後すぐに意外な形で出てきて、孝蔵と千紗子の関係にも影響を与えていきます。本作には父と娘、母と息子の関係が描かれていて、その対比が絶妙です。とてもスリリングな展開と、心を打つ展開が同時に進行していく点も秀逸です。
そして、杏の演技も見ものです。強くて頼もしい母親のキャラクターはハマり役でありつつ、シリアスで重いシーンが多く、特に感情があふれ出るシーンでは俳優としての新たな一面を見られます。また、劇中の母親ぶりから、普段もこんな風に優しいお母さんなんだろうなとリアルに想像させられます。杏が演じる主人公以外もそれぞれ印象に残るキャラクターです。さまざまな視点でお楽しみください。
デート向き映画判定
シリアスで重いストーリーなので、ロマンチックなムードになることは期待できないものの、見応えがあり、鑑賞後に一緒にストーリーを振り返りたくなる作品です。初デートで観るテンションではなさそうですが、何度か映画デートをしたことがあるカップルなら、一緒に観るのもアリでしょう。誰に感情移入しながら観たか話すのもおもしろそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定
本作にはキーパーソンとして子どものキャラクターも登場するので、自分ならどうするかリアルに想像しながら観ることもできるのではないでしょうか。子ども目線で観ると少し怖いと感じたり、複雑な気持ちになる部分もあると思います。親子の物語なので、家族で一緒に観ると、自分達の家族関係を振り返るきっかけになるかもしれません。
『かくしごと』
2024年6月7日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト
©2024「かくしごと」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2024年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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