REVIEW
毎度ながら前情報を入れずに観て、最初のシーンで「?」、次のシーンでも「?」となりながら、徐々に、本作の構成といおうか、この世界の構造がわかってくるおもしろさを味わいました。私は観る前には極力情報を入れずに観るのが好きなので、いつもの方法で楽しんだものの、最初にどんな構成なのかを知ってから観るほうが楽しめる方もいるかもしれません。

とにかく、何も知らずに本作の世界に飛び込むと、良い意味で、精神世界のどこにいるのかわからない感覚を味わえます。でも徐々に背景が繋がっていき、点と点が結びついて線になっていきます。ストーリーが進行していくほど、メタファーが散りばめられている点にも気づきます。「けもの」とは何かという点も、解釈のし甲斐があるでしょう。

そして、本作では感情が重要なテーマとなっています。私達の実社会でも現在AIが生活に浸透してきており、人間の役割が改めて問われる状況になっています。劇中では、技術の進歩により、ある意味で人間が穏やかに過ごすための手段が取られているように見えつつ、その選択をした人間は、本当の意味で人間として生きているといえるのか、疑問が湧いてきます。

また、本作で描かれる“新しい価値観”の社会とこれまでの社会が比較されることで、感情は人間に何をもたらすのかを考えさせられます。本作は心理学の視点から観てもとても興味深い内容です。エンドロールの演出も、恐らく前代未聞のスタイルでとてもユニークです。その演出は、本作で描かれる世界観をそのまま拡張したものとも捉えられます。一度観ただけでは咀嚼しきれないところも感じつつ、だからこそおもしろいし、繰り返し観たくなる異色作です。
デート向き映画判定

本作は観方によっては、壮大なラブストーリーともいえます。ただ、いろいろな映画を観慣れている方は心配がないとして、普段あまり映画を観ない方には少し難しく思える部分がなきにしもあらずです。そこが気にならない2人なら一緒に観るのもアリでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

自分なりに解釈をする余地のある映画が好きな人にはオススメです。逆にいうと、それなりに頭を動かさないと、何がどうなっているのか混乱する部分もあるので、映画を観慣れてきてから観るほうが楽しめそうです。その点も踏まえると、中学生か高校生以上になって、自ら興味が湧いたら観るほうが良さそうです。

『けものがいる』
2025年4月25日より全国順次公開
セテラ・インターナショナル
公式サイト
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©Carole Bethuel
© FILM : 2022 – LES FILMS DU BÉLIER – MY NEW PICTURE – 9459-5154 QUÉBEC INC. – ARTE FRANCE CINÉMA – AMI PARIS – JAMAL ZEINAL-ZADE
TEXT by Myson
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情報は2025年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
