事故で記憶を失ったスジン(ソ・イェジ)が主人公であるということ、映画タイトルが『君だけが知らない』であることから、スジンが誰かに隠し事をされるか、騙されるんだなというのは想像できますよね。だから、観ているとある人物のいかにも怪しいと思える言動がとても気になってくるのですが、そうそう簡単に真相はわからないよう巧妙に作られています。「やっぱり、そうだった!」と思っても、まだまだ深いところでさまざまなトリックが組み込まれているので、最初から最後まで目を凝らして観て欲しい内容です。
推理を楽しんで欲しいので、内容については触れないでおきますが、クライマックスで一気にタネ明かしをされると、よくぞここまで入り組んだ構成にできたものだなと感動すら覚えます。また、細かいところは伏線を回収せずに終わるのかなと思いきや、最後の最後までタネ明かしが続きます。映画をたくさん観ている方ほど、その先入観で騙されてしまうかもしれません。さらに、俳優陣の演技力があってこそ、キャラクターの言動が玉虫色に見えて騙されてしまう部分もあると思います。
90%くらいはとてもスリリングでゾクゾクとした怖さがありますが、真相がわかるととても温かく切ないストーリーだったという印象にガラッと変わります。2度、3度と観返す楽しさもある作品ですよ。
観ている間は緊張感漂うシーンに釘付けになり、デートを楽しむ雰囲気にはならないとしても、観終わった後は好きな人が横にいて良かったと思えて、親近感が湧いてくるかもしれません。また、鑑賞後に誰かとおさらいをしたくなる内容なので、会話のネタになります。初デートや、いつもデートで何を話せばわからないという方にもオススメです。
作品の雰囲気としては大人向けですが、推理が好きな方なら年齢を問わず楽しめるのではないでしょうか。ただ、推理を進める上で、各キャラクターの名前と主人公との関係性を頭に入れながら観ていく必要があるので、ある程度の集中力は必要です。そういう点を踏まえると、中学生くらいになってから観るほうが楽しめそうな気がします。
『君だけが知らない』
2022年10月28日より全国公開
シンカ
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TEXT by Myson