REVIEW
“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマにした本作は、恋人を亡くした主人公の昴(坂東龍汰)が、周囲の人に支えられながら深い喪失からゆっくりと再生していく物語です。一言で“再生”といっても、やはり大切な人を亡くした悲しみや寂しさから抜け出すことは容易なことではありません。でも、本作からは無理に立ち直る必要はないということも感じ取れます。
本作では“グリーフケア(グリーフ=決して癒えることのない深い悲しみ)”という言葉も登場し、劇中には昴以外にもさまざまな悲しみを持った人が集まるグリーフケアの会が登場します。映画公式資料によると本作の作道監督は子どもの頃に父親を亡くした経験があり、当初“グリーフケア”に対して「心の傷は簡単に癒せるものではない」という懐疑的な気持ちがあったそうですが、本作の制作過程で監督自身にも心境の変化があったそうです。そういった監督の想いも本作から伝わってきますし、同じように大切な人を亡くした経験のある方にとっては優しく寄り添ってくれる作品になっていると思います。
個人的な話になりますが、私自身家族を亡くした経験があるので、観る前は少し構えていたのですが、鑑賞後は心が少し救われるような感覚があり、作品自体にグリーフケアの効果があるように感じました。
そして、大切な人の死という難しいテーマを扱った本作で、俳優それぞれの演技も光っています。昴を演じた坂東龍汰の演技は特に惹きつけられるものがあり、深い喪失感にもがき苦しむ様を見事に表現しています。その脇を支える西野七瀬、南果歩、津田寛治、岡田義徳らもそれぞれ印象的なキャラクターを演じています。ぜひいろいろな人物に自分を置き換えながら観て、誰かの死を背負いながら生きることについて考えるきっかけにしてみてください。
デート向き映画判定
恋人を亡くした主人公の物語なので、ムードを盛り上げる効果はありません。ただ、主人公の姿を観ていると大切な人を想う気持ちがひしひしと伝わってくるので、今傍にいるパートナーをより大切にしようと思えるのではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定
まずは素直に本作を観て自分がどんな感情になるのか観察してみてはいかがでしょう。主人公の気持ちを理解することが難しかった場合は、大人になってから観返すのも良いと思います。また、本作を機にグリーフケアについて調べてみるのもオススメです。
『君の忘れ方』
2025年1月17日より全国公開
ラビットハウス
公式サイト
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©「君の忘れ方」製作委員会2024
TEXT by Shamy
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情報は2025年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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