REVIEW
中村文則による原作「火」を映画化した本作は、瀧内公美が演じる主人公の女性の語りだけで物語が展開します。76分という上映時間で、出演者1人だけで物語が完結していると思うととてもすごい!そして、瀧内公美の素晴らしい演技力にも引き込まれます。
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物語は主人公がある精神病院に入るところから始まります。その静かな病院の中で彼女は医師に自身の過去について語り出します。彼女は自分の幼少期から現在に至るまでのさまざまなことを淡々と話しているものの、時々言っていることに「あれ?」となる部分があり、医師の姿も見えないので、彼女が本当に医師に対して語っているのか、本当は誰もいないのか、観ている側も彼女の複雑な精神世界の中に迷い込んだような気分になります。そんな不思議な感覚が続きながらも、物語の軸が彼女の言葉にしかない描写が本作のおもしろい点です。
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観る人によってもさまざまな解釈ができると思いますし、印象に残る場面も変わるのではないでしょうか。個人的には主人公の親子関係の話や、Tという男性の話が特に印象に残っています。
また、原作は過去に桃井かおり監督、脚本、主演で『火 Hee』として映画化、三木美智代主演で“業火”として舞台化もされているので、そういった過去作もあわせて観るのも良いと思います。
デート向き映画判定
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主人公の壮絶な人生語りは、デートよりも1人か映画好きの友人と観るほうが向いている気がします。ただ、彼女の語りの中には男女関係にまつわるエピソードも登場するので、カップルで観て、反面教師として観て教訓にするのはアリです。
キッズ&ティーン向き映画判定
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主人公の話に耳を傾け、背景を考えながら観ると、皆さんの想像力が刺激されると思います。基本的には一人語りなので、ビジュアル的な過激さはありませんが、主人公の過去の話には多少ショッキングな内容も含まれているので、ある程度大人になってから観たほうが作品に対する解釈の幅が広がるような気がします。
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『奇麗な、悪』
2025年2月21日より全国順次公開
NAKACHIKA PICTURES
公式サイト
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©2024 チームオクヤマ
TEXT by Shamy
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- イイ俳優セレクション/瀧内公美(後日UP)