キービジュアルからして青春物語なのかなというイメージで、こんなに迫力のある映画だとは思っていませんでしたが、パンチ力があり、実に見応えのある作品です。前半は、石井杏奈が演じる玻璃がどんな女の子なのかというところがフォーカスされ、中川大志が演じる清澄と出会うことで、どんどん変化していく様子が描かれています。この展開がとても爽やかで共感できるからこそ、後半でギャップが出てきて、一気に押し寄せるダークな雰囲気が物語に深みを与えています。クライマックスでは、一瞬暗闇から抜け出したと思われた玻璃と、彼女を救う清澄が、大きな敵に立ち向かうことになりますが、2人は一体どうなるのだろうとハラハラさせられるなかで、「この2人は誰なんだろう?」というキャラクターも登場し、トリッキーに描かれている点も本作の魅力といえます。現代社会のどこかで起きてそうな事柄を扱っている点で身近に感じられるストーリーでもあり、そこにサスペンスもあり、さらに青春物語として共感する部分もあるという多面的な作品。SABU監督が得意とする疾走感ももちろん魅力となっています。キャストもすごく豪華で、とある俳優の怪演も見ものとなっており、映画好きにもオススメの1作です。
重〜いテンションになるところがありますが、ラブストーリーとしてとても共感できる要素も多く、デートで観るのもアリだと思います。主人公と同じ世代の高校生カップルはもちろん、大人が観ても楽しめるストーリーなので、年齢層は問いません。自分の心の中にいろいろなことを閉じ込めて、助けを求めるのが苦手そうな人と付き合っている人は、本作を一緒に観て、それとなく悩み事を聞き出すきっかけにするのも良いかもしれません。
ティーンの皆さんはいろいろな点で身近に感じられるストーリーだと思います。1人で孤独に日々の苦しみに耐えているキャラクターもいれば、困っている人を助けたい気持ちから思い切って行動を起こすキャラクター、そんな友達を影で支えるキャラクターなど、いろいろなタイプのキャラクターが登場するので、皆さんの日常と当てはめて考えを巡らせるきっかけにもできるでしょう。真似はできないところももちろんありますが、何らかの勇気をもらえると思うので、ぜひティーンの皆さんに観て欲しいです。
『砕け散るところを見せてあげる』
2021年4月9日より全国公開
PG-12
イオンエンターテイメント
公式サイト
© 2020『砕け散るところを見せてあげる』製作委員会
TEXT by Myson