ドラマ版を観ていた人がお馴染みの展開やノリを楽しめるのはもちろん、ドラマ版は観ていなくても福田雄一監督作が好きな人にとって、間違いなく期待に応えてくれる作品です。本作は1980年代に連載された伝説のツッパリ漫画「今日から俺は!!」が原作で、物語の舞台は1980年代の千葉。当時の千葉県の様子を知りませんが、漫画的世界観の投影なのか、時代描写的な誇張なのか、「こんなにダサかったの?」と、とにかくダサさがデフォルメされているところでまず笑いを誘います。ドラマ版を観ている人は慣れているのかも知れませんが、劇場版から観る者にとっては、いちいちツッコミたくなる要素が満載で、前半はそんな映画的に美味しいダサさに心を奪われ、ニヤニヤさせられます。一方、後半はドラマ性が一気に高まり、ツッパリ映画に欠かせない程よい緊張感がある点で飽きません。賀来賢人が得意とする変顔や振り切った演技は満載だし、清純な雰囲気をもちながらアクションが得意な清野菜名をはじめ、キャスティングがすごくハマっているのも本作の魅力です。ふざけるなら、とことんやって欲しいというこちらの期待通り、全開でふざけまくっているので、ストレス解消に笑いたい人はぜひ観てください。男子だけでなく、女子(スケパン)も活躍する点で、老若男女問わず楽しめますよ。
ちらっとラブロマンスはありつつ、基本コメディなので、カップルで観て気まずいところはありません。わかりやすいギャグが多いので、誰が観てもそこそこ笑えると思いますが、相手が笑いにシビアな場合は、好みに合うかどうか考えてから誘ってください。一緒に観て笑いのツボが合えば、さらに2人の距離が縮まりそうなので、付き合いたてのカップルは相性を確かめるためにデートで観てみると良いのではないでしょうか。
キッズやティーンの皆さんは、生きた“ツッパリ”を知っているのでしょうか(笑)。東京ではもう絶滅危惧種ではないかと思うのですが、地方にはまだいますかね?いずれにせよ、いろいろな意味で新鮮な気持ちで観られると思います。極悪なキャラクターもいれば、「弱い者いじめはしない」というプライドを持ったツッパリもいるし、友達思いのツッパリもいます。時代や環境は違っても、どこか共感できるところがそれぞれのキャラクターにあるので、世代を問わず楽しめる作品となっています。ふざけるところはふざけまくっていながら、キメるところはキメていて、ホロッとするシーンもあり、一粒で何度でも楽しめます。親子で観ても、友達と観てもオーケーです。
『今日から俺は!!劇場版』
2020年7月17日より全国公開
東宝
公式サイト
© 2020映画『ステップ』製作委員会©西森博之/小学館
©2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会
TEXT by Myson