1990年代に革新的なモードメイクで世界を席巻し、21歳でレブロン“ULTIMA”のクリエイティブ・ディレクターとして起用された天才メイクアップ・アーティスト、ケヴィン・オークイン。しかし、彼は長年頭痛と精神的苦痛に悩まされ、鎮痛剤の中毒により2002年に40歳の若さで突然亡くなりました。本作は、そんなケヴィンの人生を追ったドキュメンタリーで、彼と親交のあった友人や有名人のインタビューと共に彼の人物像に迫ります。
まず驚くのは、ケヴィンの美に対する探究心です。流行に囚われず、自分が美しいと思うものをメイクで表現する姿はとてもカッコ良くて、鮮やかな技術にも目を奪われます。そして、細眉やリップライナー、陰影で立体感を出すコントゥアリングなど、彼が生み出したメイク技術が現在も生き続けていることもわかります。その他にも、本作にはケイト・モスや、ナオミ・キャンベル、シェールなど、豪華な有名人達が登場し、ケヴィンについて語る場面があります。それぞれの視点からケヴィンがどのような人物に映っていたのかにも注目です。
また、本作ではケヴィンがメイクアップ・アーティストとして第一線で活躍する一方で、精神的に問題を抱えており、だんだんと薬に依存する姿も観られます。詳細は本編をご覧いただくとして、彼の生き様を知ることで、自分の人生を見直すきっかけにもなるのではないでしょうか。メイク好きはもちろん、どんな人でも彼の人生から何か感じ取れるものがあると思います。
ドキュメンタリー好きか、美容に興味のあるカップルなら一緒に観るのもアリです。本作にはケヴィン・オークインと恋愛関係にあった人物が登場し、彼について語る場面もあります。その様子から彼がその時々でどんな人物と出会い、支えられていたのかがわかります。とはいえ、決して恋愛メインの作品ではないので、恋愛要素は参考程度にご覧ください。
早くから才能を開花させ、有名モデルや俳優と仕事をするケヴィン・オークインの姿に皆さんも憧れるのではないでしょうか。彼のメイクはとても斬新で、時には批判されることもあります。そういった声に屈せず、彼がさまざまなメイクで世間を驚かす姿はとてもカッコ良いと感じます。彼のように一度興味を持ったことをとことん突き詰めていく姿勢は、皆さんにもぜひ真似して欲しい点です。
『メイクアップ・アーティスト:ケヴィン・オークイン・ストーリー』
2022年10月7日より渋谷ホワイトシネクイントにて先行公開、10月14日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開
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TEXT by Shamy