なんておもしろい会話劇なんでしょう!本作はジョン・デヴィッド・ワシントンが演じるマルコムと、ゼンデイヤが演じるマリーの2人芝居。物語は、映画監督のマルコムと恋人のマリーが、彼の作品のプレミア上映から帰宅したところから始まります。映画の評判が上々で浮かれるマルコムに対して、マリーは少し冷めた様子。そこから徐々に不穏な空気が漂いはじめ、口論へと発展していきます。1度口論が収まっていちゃつき始めたと思えば、些細な言葉でまた口論が始まり…といった繰り返しで、すごく生々しいカップルのやり取りが描かれています。たった一夜でカップルに漂う空気が何度も変化しますが、激しい心のぶつかり合いは本当にリアル。どちらのキャラクターも憎らしくて愛らしくて、すごく魅力的で、モノクロで描かれる世界観に2人のカッコ良さもハマっていて最高です。練られたセリフとそれに命を吹き込む2人の演技が本当に素晴らしくて、会話劇のおもしろさを存分に味わえる作品となっています。映画好き女子にはぜひ観て欲しい1作です。
客観的に観るとマルコムもマリーも本当に面倒くさい人に見えますが、これはカップルなら皆やってることではないかと思います(笑)。愛と憎しみは紙一重といいますが、愛するからこそ怒りも湧く構造がわかりやすく描かれています。「それを言ったらおしまいよ」という暴言をお互いにぶつけまくりますが、最終的に2人がどうなるかも見もの。良くも悪くもお手本になるところがあるかもしれないと思って、カップルで観てみても良いと思います。
これを小学生が観るとどんな感想になるのか全然読めませんが、普通に「喧嘩はやめて」と思うだけかもしれません(笑)。いろいろと恋愛を経験してから観るほうが一層楽しめると思うので、大人になったらぜひ観てください。高校生くらいならシミュレーション代わりに観られる部分もあると思うので、恋愛関係の1つの形として参考にしてみるのもアリでしょう。
『マルコム&マリー』
2021年2月5日よりNetflixにて配信中
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TEXT by Myson