映画だからとわかっていても、万力でギューッとするシーンが生々しくて痛さが伝わってきます。そして、ホラーなところはガッツリホラーで、可笑しなところは可笑しくて、笑いと恐怖が絶妙なバランスで描かれています。本作は、原作、脚本をお笑い芸人の永野が担当(出演もしています)、とある人気お笑い番組でユーモアのセンスを証明した斎藤工が主演というところで、2人の強みがとても活きているのだと感じます。女性の小顔願望、若さ、美しさへの執着に疑問を呈するストーリーで、女性目線では痛いところを突かれた感覚になるでしょう。個人的にパチンコ屋のシーンから登場する女性がいろんな意味ですごく怖かったのですが、女性だからこそこれを怖いと思うんじゃないかと、えもいわれぬ感覚に陥りました。それにしても世の中にはこういう風に見られているんだなと客観視できる部分もあるので、自分を見つめ直すきっかけ、付き合う相手(友達、恋人含め全般)を見直すきっかけにするのが良さそうです(笑)。
結構グロいシーンが多いので、デートで観るのには不向きでしょう。斎藤工が演じる男性と、小顔になりたい女性のやり取りがとても奇妙で滑稽で恐ろしいのですが、男が酷いのか、女が酷いのか、冷静に観られるので、1人でじっくり観るか、仲の良い友達と観て、自分にも当てはまる点があれば今後に活かすも良し、間違った相手と付き合っていると気付いたら別れるも良しという感じです。
R-15なので15歳未満の人は観られません。可愛くなることに夢中な思春期のティーンの皆さんにとって衝撃的な内容で、ブラックコメディといえども、怖いシーンもいくつか出てきます。ホラー的なシーンに免疫がない人はどこまで耐えられるかわかりませんが、皮肉な描写が理解できる人には笑えるはず。本作から感じるメッセージには、「そうは言われてもね〜」と思うかも知れませんが、これを機に自分の持つ「美しさ」の概念を見つめ直してみると、もっと素敵な大人になれるかも知れません。
『MANRIKI』
2019年11月29日より全国順次公開
R-15+
HIGH BROW CINEMA、東映ビデオ
公式サイト
©2019 MANRIKI Film Partners
TEXT by Myson