情熱的な大人の恋愛を描いているなかに、過去と未来をどう受けとめて生きていくかというテーマがあり、時間と記憶というものが人にどれだけ影響するかという視点での前向きなメッセージが感じられます。福山雅治が演じる主人公のように、ある年齢に到達したところで自分のこれまでの生き方を振り返ると同時に、これからの生き方を見つめ直したり、自分の存在価値を問い直す人も多いと思います。ただがむしゃらに夢を追いかけたり、仕事で忙しくしているだけではいられなくなる感覚…。シチュエーションは違っても、そういった誰もが経験する心の変化を映し出しているので、特にミドル世代の男女は感情移入できるのではないかと思います。一方で、ラブストーリーがとても切なくて、女性の怖さみたいなものが描かれているドラマチックな展開もあります。静寂の中にとても激しい感情がうごめいている大人のラブストーリーで、海外のシーンでは、どんな風景にいても画になる福山雅治と、多くのフランス語、英語のセリフもこなしている石田ゆり子の演技も見どころとなっています。
切なくてキュンとするラブストーリーなので、デートで観ると、観ている側も良い意味でそのムードにあやかることができるでしょう。ただし、いろいろこじれるところで、似たような経緯でカップルになっている場合は、良からぬ想像を抱かせてしまったり、自分がそうだと気がついたりする可能性もあります(ネタバレするので曖昧な表現ですみません!)。なので、何かしら思い当たる節がある人に限っては、1人で観るか、友達と観るほうが良いかも知れません。
大人のラブストーリーなので、大人になってから観たほうが複雑な心情や主人公の選択、周囲の人の行動にも共感、理解をしながら観られると思います。楽器をやったり、音楽に興味のある人は、別の視点で楽しめるかも知れません。
『マチネの終わりに』
2019年11月1日より全国公開
東宝
公式サイト
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TEXT by Myson