劇中でキーアイテムとなっている飛び出す絵本のごとく、作品そのものもアーティスティックで独特なな世界観を醸し出しています。本作にもアンデルセン童話の「人魚姫」を踏襲している要素が少し感じられますが、人間の男と人魚の関係や“歌”の扱い方に特徴があります。本作が初の長編実写映画監督作となるマチアス・マルジウ監督は、フレンチロックグループ“ディオニソス”のメンバーとのことですが、歌にフォーカスした物語にそんな監督のルーツとこだわりが見えます。キャラクターもとても魅力的で、展開上対立的に見えるところはあるにせよ、根っからの悪人が出てこないところでも、優しさに包まれた作品となっています。また、ガスパールを演じたニコラ・デュヴォシェルはルックスも雰囲気も魅力的で、ローラースケートで走り回る姿さえオシャレ。人魚のルラを演じたマリリン・リマもとてもキュートで、透明感が人魚にピッタリです。そして、個性派俳優ロッシ・デ・パルマが演じる役も見事に本作のアクセントになっています。
物語はオーソドックスですが、描写が独創的な点でぜひ映画好き女子の皆さんにも観て欲しい1作です。
デートにピッタリのムードにしてくれるロマンチックでキュートな作品です。気まずいシーンもなく、ベースは誰もが知る人魚姫の物語なので、初デートでも安心して誘えます。程よく切なさもあり、でもラストは清々しく、デートの後のメニューに響いてしまう心配もありません。恋に夢中になるのを恐れている人にも良い刺激になるかもしれません。
人魚が登場する物語と聞くとキッズも楽しめそうですが、物語のトーンとしてはティーン以上向けかなと思います。シンプルにラブストーリーとして楽しむのはもちろん、美術やファッションに興味がある人にも楽しめる要素が多く詰まっています。内容的にもわかりやすいので、友達も誘いやすいでしょう。いろいろな視点で気楽に楽しんでください。
『マーメイド・イン・パリ』
2021年2月11日より全国公開
ハピネット
公式サイト
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TEXT by Myson