1990年代半ばのロサンゼルスを舞台に描かれる、13歳の少年スティーヴィーと、スケートボードで繋がった若者達の物語。俳優のジョナ・ヒルが初監督を務めた本作は、脚本も彼が手掛けています。公式資料のジョナ・ヒルのインタビューによると、これは彼の自伝ではないけれど、1990年代半ばにロサンゼルスでスケートボードをして育ち、そのほとんどを劇中でも出てくるコートハウスと呼ばれるところで過ごしたとされています。ということはジョナ・ヒルってめちゃめちゃスケボーが上手いんでしょうかね。残念ながら本作では監督に徹しているので彼の演技やスケボーシーンは観られませんが、登場するキャラクター達がスゴい技をたくさん見せてくれます。レイ役のナケル・スミスはプロのスケートボーダーでFucking Awesome、Supreme、Adidasなどに所属、ファックシット役のオーラン・プレナットも幼い頃からスケートの大会に出場し、Illegal Civiliizationの所属ライダーとしてアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどを回っているそうです。そんな彼らのスケボーシーンがふんだんにありますので、それを観るだけでも楽しめますが、さらに役者達の演技、ストーリー、演出、すべてにおいて最高です!主人公のスティーヴィーは兄のイアンと母ダブニーと暮らしていて、一見普通の母子家庭ですが、徐々に家族関係がどんなものかが語られていきます。兄のイアンとスティーヴィーの関係は物語の軸となっていますが、彼らのちょっとしたやり取りだけで多くを物語り、決して説明的ではなく自然にそれを伝えているのが見事です。そしてスティーヴィーの友達関係の変化にも彼らの成長が見えますが、淡々と日常を描いているだけに見えて、それぞれのキャラクターの感情がすごく動いているのがわかります。また役者達が皆とても自然体で演じている点も素晴らしく、兄イアンを演じたルーカス・ヘッジズ、主人公スティーヴィーを演じたサニー・スリッチの演技はもちろん、本作が長編デビューのナケル・スミス(レイ役)などスティーヴィーの友人役の面々も素晴らしい演技を見せてくれます。とても素敵なラストシーンでは、本作でジョナ・ヒルが伝えたかったメッセージがしっかりと伝わってきます。ティーンの皆さんは等身大で感情移入できるのはもちろん、大人もいろいろな懐かしい感情を再体験できる素敵な作品です。
デートで観て気まずいことはなく、老若男女誰でも共感できる内容で、とてもキュートで温かいストーリーなので、どんな関係のカップルにもオススメです。上映時間は85分と短く、デートの予定に入れやすいの魅力です。スケートボードをやってみたくなるので、体を動かすのが好きなカップルは、次のデートでスケートボードができるところに出かける計画を立ててみてはどうでしょうか。
キッズやティーンの皆さんにドンピシャな内容です。背伸びしたり、強くなりたくて、そして友達が欲しくて勇気を出して飛び込んでみた世界。そこには刺激がいっぱいで楽しいけれど、自分と友達の事情はさまざまで、実はやってること全部が全部を、皆が楽しんでるわけでもない。それでも仲良くやってきて、いつかは皆大人になっていく…。そんな過程を疑似体験できるストーリーです。皆さんは等身大で観るからこそ感じることがたくさんあると思いますよ。
『mid90s ミッド ナインティーズ』
2020年9月4日より全国公開
PG-12
トランスフォーマー
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TEXT by Myson