物語の舞台は2049年の北極、主人公は病を抱え1人北極に残った科学者のオーガスティン(ジョージ・クルーニー)です。本作でジョージ・クルーニーはかなり年老いて弱った印象のキャラクターを演じていますが、すっかりおじいちゃんに見えたので、「今何歳だっけ?」と思わず調べてしまいました(ちなみにジョージ・クルーニーの実年齢は2020年12月現在59歳です)。本作はそんなジョージ・クルーニーが監督、製作を務め、俳優としても新たなステージに上がったといえる作品です。物語は一見淡々と進んでいきますが、命が危険にさらされる場面が何度もあり、ハラハラドキドキもあります。また宇宙でもストーリーが同時進行していて、2つのストーリーがどう繋がっていくのかが見どころとなっています。宇宙空間のシーンではどうやって撮ってるんだろうと思うシーンがいくつかありましたが、特に浮遊感を出すのって意外に難しいのではと感じました。とにかくそういうところにもこだわりが見えるので、ぜひ注目してください。
本作は1人の老人の話でありながら、家族の物語とも言えて、人が生きていく上で何が大切かを考えるきっかけをくれます。最後の最後で隠されていた事実が大きく分けて2回明かされ、「ワーオ!」となると同時に、オーガスティンの胸の内を知り、ジ〜ンときます。今後の地球のことも予知するような内容なので、いろいろな視点で楽しんでください。
ロマンチックな展開はあまりありませんが、主人公が過去の恋愛関係について振り返るシーンが出てくるので、各々、そしてお互いに、どんな価値観でこれから生きていきたいかを考えるきっかけにできると思います。将来を共にするつもりのカップルなら、むしろ一緒に観たほうが、お互いが理想とする将来像を話せるし、今後の関係に見通しを立てられるのではないでしょうか。
いろいろな経験を経た上で観るからこそ、いろいろな感情がより喚起されるストーリーではあるので、大人になってから観るほうが感情移入しやすいでしょう。ただ、北極や宇宙で起こるハラハラドキドキするシーンは、誰が観てもエンタテインメントとして楽しめるので、興味があればキッズやティーンの皆さんも観てみてはいかがでしょうか。
『ミッドナイト・スカイ』
2020年12月23日よりNetflixにて配信開始/12月11日より劇場公開
公式サイト
TEXT by Myson