REVIEW
デヴ・パテルが自らオリジナルストーリーを書き、監督、共同脚本、主演を務めた本作は、構想に8年かけて作られました。元々配信作品として製作されていたものの、ジョーダン・ピール(『ゲット・アウト』、『NOPE/ノープ』など監督)が観て気に入り、自身の制作会社で買い取って劇場公開されることになったそうです(映画公式資料より)。パテルは、子どもの頃からアクションが大好きで、アクション映画に並々ならぬこだわりを持っており、同公式資料では「アクションというジャンルは業界によって悪用されやすく、手っ取り早い利益のために中身のないコンテンツが大量に生み出される可能性がある。しかし、このジャンルの本当のファンとして、僕はアクション映画がもっと濃い内容を扱えることを知っている」と述べています。
そんなパテルは、祖父から聞いた猿の神ハヌマーンの物語からインスピレーションを得たといいます。そして、「この映画は僕のカルチャーを称賛しているが、同様に、最も不利な立場にあるコミュニティに長期にわたり課せられ続けている体系的で制度的な問題を訴えることにも全力を尽くしている」とも述べており、映画の力を借りて自身の出自、アイデンティティを誇れる文化をもたらそうとする強い意志が込められているのもわかります。
パテルのこうした思いは、不屈の精神を持つ男の物語として描かれています。主人公のキッド(デヴ・パテル)は、賭博が行われる闇のファイトクラブで猿のマスクを被り“モンキーマン”と称して戦っています。彼にはある目的があり、その目的を果たす方法を見つけた彼は地道に準備をしていきます。でも、目的は簡単には果たされず、キッドは窮地に立たされます。ただ、そこからキッドの本当の強さが見えてきて、軸となる神話と融合した物語が展開していきます。本作では、生身の人間としての強さと弱さ、主人公が苦難を経た末に神がかったような強さを得た後の戦いぶりを見せつけなければいけないわけですが、パテルがいかに鍛えてきたかというのはちらりと見える肉体美と、動きの鋭さに表れています。クライマックスの宿敵との激しい格闘シーンでは、2人ともスタントマンやカメラトリックを一切使わずに、すべて自ら演じているそうです。本当に身体をはって演じているのがわかるシーンなので要チェックです。
本作には“ジョン・ウィック”シリーズを手掛けた製作陣も参加しています。“ジョン・ウィック”に通じる激しさと、パテルが取り入れたインド文化が融合し、これまでのハリウッド作品ともボリウッド作品とも異なる、独特のテンションがあるアクション映画となっています。
デート向き映画判定
バイオレンスシーンが生々しくて痛々しいので、デートで観ようと考えているなら、相手の許容範囲を確認してから誘うと良いでしょう。また、ラブストーリーの要素はほぼないので、ロマンチックなムードになることは期待できません。そういう意味では、まだロマンチックなムードになるには早いと感じている相手とのデートでは逆に観やすいかもしれません。
キッズ&ティーン向き映画判定
辛い過去を持つ主人公が苦境に屈せず、ただひたすら目的を果たすために地道に準備を積み重ねる様子が描かれています。現実の世界では復讐はオススメできませんが、主人公が諦めずに社会悪に立ち向かう姿はお手本になる部分もあるでしょう。バイオレンスシーンではかなり刺激が強いシーンもあるので、ある程度免疫がついてから観ても良さそうです。
『モンキーマン』
2024年8月23日より全国公開
R-15+
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
©2024 Universal Studios. All Rights Reserved.
TEXT by Myson
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情報は2024年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。