早朝から布団をバンバン叩くお隣さん。これは厄介な人に違いないと誰もが思ってしまいますが、人を知ろうとしないことがいかに危険で愚かで、人を傷つけることになるか、戒めを与えてくれるストーリーになっています。また自分の気持ちに余裕がないと、こんなに視野が狭くなり、心が狭くなるのかと、目を背けたくなる現実も突きつけられますが、誰でも間違いは犯すし、それを正すこともできるのだという希望も与えてくれます。子育てに追われながら、小説家としてのスランプを乗り越えることに必死な主人公を演じる篠原ゆき子、変わり者で危険人物に見えるけれど実は…という多面性を持つキャラクターを演じた大高洋子の演技が素晴らしく、物語がとてもリアルで身近に感じられるので、臨場感を持って鑑賞できます。95%くらいはずっとドギマギとさせられますが、最後は温かい気持ちになり、許しを得られるので、安心して観てください。普段のご近所付き合いについても、見方を変えてくれるはずです。
夫婦の物語として観ても、客観的な視点が得られて学ぶところが多々あります。特に子育ての場面で夫婦それぞれに思うところも描かれているし、「これはダメだわ」というリアルな姿も描かれています。また差し迫って問題が起きた時こそ2人の絆が試されますが、ご近所問題への対処の仕方や反応の違いで夫婦の危機にさらされる様子からも、反面教師的にヒントが得られると思います。映画の結末がどうなるかは別として、引っ越しでこういう問題にぶつかるかも知れないなと、家を買ったり、引っ越すのを躊躇してしまいそうなストーリーではありますが、これから同棲しようとするカップルや、家族で引っ越す予定の人達は、本作で心構えをすると良いのではないでしょうか。
本作では子どもがキーパーソンとなっています。ある意味ダメな大人が再生する姿を映している作品ですが、大人からすると、子どもの目にどう映るのか聞いてみたくなる内容です。物語はとてもシンプルでわかりやすく、ネット社会の問題も取り上げているので、キッズやティーンの皆さんにとっても身近に感じられると思います。ぜひ親子で観て感想を述べ合って欲しいと思います。
『ミセス・ノイズィ』
2020年12月4日より全国順次公開
アークエンタテインメント
公式サイト
©「ミセス・ノイズィ」製作委員会
TEXT by Myson