REVIEW
第2次世界大戦下の1940年代上海で、中国共産党、国民党、日本軍のスパイが、それぞれ胸に抱く理想の国を実現すべく駆け引きを繰り広げます。誰が味方か敵か、最後までわからず、約2時間フルで、ハラハラドキドキが楽しめるでしょう。注意深く観察しているとかなり最初のほうから伏線が散りばめられているので、途中で真相に気付く方もいれば、最後の最後で「ハッ!」となる方もいると思います。
日本軍の立場はさておき、中国の中でも共産党、国民党それぞれの立場で対立があるので、そうした基本的なところだけ頭に入れておくと、話についていきやすいかもしれません。時間軸が行ったりきたりしながら、最後に点が線で結びつく快感も味わえます。
そして、本作の見どころといえば、トニー・レオンの演技は外せないでしょう。トニー・レオンが演じるフーは人間味を漂わせながら、時に“仕事人”としての怖さを見せます。スリリングなシーンでチラリと見せる冷徹な一面にはゾクゾクさせられます。さらに、イエを演じるワン・イーボーの演技も見もの。冷静沈着に見えて、時折見せる感情的な一面にイエの若さと純粋さが見えつつ、イエのミステリアスで読めない部分が物語をドラマチックにしています。日本語を話すワン・イーボーにもご注目ください。
役者の演技力、映像のトーン、ストーリーとが絡まり合い、観る者を引き込みます。ぜひこの世界に没入してお楽しみください。
デート向き映画判定
戦時中という時代背景やスパイものというところで好みが若干分かれそうですが、2人とも興味があればデートで観ても良いのではないでしょうか。スリリングでロマンチックなシーンも本作の魅力の一つでありながら、心理戦が繰り広げられる点で上映中は各々が集中して見入ってしまうかもしれません。ただ、鑑賞後はどんな推理をしながら観ていたかを話すと会話が盛り上がりそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定
時代背景が理解できていないとピンとこない部分がある点、心理戦が描かれていて集中力が必要な点、131分と尺が長めである点で、キッズにはハードルが高そうです。かなり渋い映画なので、高校生か大学生くらいから興味が出てきそうなジャンルに思えますが、アジア映画に目覚めてきた方は独特な世界観を味わってみると、ハマるかもしれませんよ。
『無名』
2024年5月3日より全国順次公開
アンプラグド
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2024年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。