REVIEW
直木賞を受賞した垣根涼介著「室町無頼」を映画化した本作の舞台は室町時代。主人公の蓮田兵衛(大泉洋)は、大飢饉と疾病で多くの死者が出ている状況を目の当たりにしていました。一方、身寄りのない才蔵(長尾謙杜)はひょんなことから兵衛に拾われます。そして、共に歩む道中で才蔵は兵衛の人柄を知っていきます。
原作を読んだ方や日本史に詳しい方はさておき、蓮田兵衛が何をした人物かは本作を観て知っていただきたいので、ここでは敢えて書かずにおきます。映画公式資料によると、蓮田兵衛は「群書類従 新撰長禄寛正記」に名前が登場するものの、詳細は記されていない人物のようです。ただ本作で描かれる蓮田兵衛というキャラクターは何ともカッコ良くて、本作の宣伝で謳われている「大泉洋史上最高にカッコいい男」という表現にも納得です。
一方、堤真一が演じる骨皮道賢は、「同時代史料からある程度、彼の動向が復元可能」だとされています。蓮田兵衛と骨皮道賢は独特な立ち位置にあり、2人のユニークな関係性によって本作はドラマチックになっています。
さらに特筆すべきは、長尾謙杜が演じる才蔵というキャラクターの魅力です。才蔵の修業パートは、まるで『ベスト・キッド』のようです。長尾謙杜の演技とアクションの才能にも目を見張るものがあります。また、柄本明が演じる唐崎の老人や、武田梨奈が演じる超熙も印象的です。
本作は、格差社会、政治不信等、現代にも繋がるテーマを描いているので、時代劇といえども身近な感覚で観られます。アクションにもこだわりが見え、エンタテインメント性も抜群です。大泉洋を主演に据えたことが、人情ものとしての見応えにも功を奏しています。時代劇を普段観ないという方にも観ていただきたい1作です。
デート向き映画判定
ロマンチックな展開はチラッとありつつ、自分達に当てはめて観られる設定ではないので、逆にデートでも観やすいと思います。日本史に詳しい方とそうでない方で印象は異なる可能性はありつつも、そもそも蓮田兵衛はあまり知られていない人物なので、誰でも新鮮な目線で観られるのではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定
実在の人物として登場する蓮田兵衛と骨皮道賢は、学校の授業では出てこないかもしれませんが、本作で描かれる出来事を知ると、より室町時代の背景が頭に入り易くなりそうです。観た後に史実と照らし合わせてみると、勉強にもなって一石二鳥ですね。もちろん、純粋にエンタテインメントとして観ても楽しめます。
『室町無頼』
2025年1月17日より全国公開
PG-12
東映
公式サイト
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© 2016 垣根涼介/新潮社 ©2025『室町無頼』製作委員会
TEXT by Myson
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「室町無頼」垣根涼介 著/新潮社
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情報は2025年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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