本作は、カメラマンでもある日比遊一監督に起きた実話を基に描かれた物語。主人公は、3人兄弟の長男で、ニューヨークで写真家として活躍する達也(永瀬正敏)です。ある日、達也は次男の章人(オダギリジョー)の訃報で地元の名古屋へ戻ります。物語は、現在と過去が映し出され、章人の死因と兄弟の背景がだんだんと明かされていきます。詳細はネタバレになるので控えますが、本作を観ていると、毎日を当たり前のように過ごしている人もいれば、生きることを困難に感じている人もいることを痛感させられ、命の重みを感じます。
また、長男、次男、三男、それぞれの立ち位置の描き方も秀逸で、同じように兄弟姉妹がいる人なら、より共感できる点もあると思います。3兄弟を演じた永瀬正敏、オダギリジョー、金子ノブアキはもちろん、その脇を支える今井美樹や真木よう子の演じたキャラクターにもそれぞれ見どころがあるので、俳優陣の演技にも注目してご覧ください。少しずつ真相が明かされていくストーリーは、最後まで集中して観られますし、すべてを知った状態でもう一度観たら、また違った発見もできそうです。
兄弟や家族のデリケートな物語が描かれているので、初デートで観るには内容が重たく感じるので、付き合いの長いカップルで観ることをオススメします。また、人の死や命がテーマとなっていて、悲しくなる場面もありますが、一緒に同じ気持ちを共有することで、お互いの絆が深まる効果も期待できます。観賞後は、これを機にお互いの家族や兄弟姉妹の話をするのも良いと思います。
中学生くらいになってから観たほうが3兄弟の心情をより理解できると思います。ティーンの皆さんは、登場人物達の気持ちに共感しながら観て、家族や命の大切を感じて欲しいと思います。また、本作の次男のような運命を辿らないためにも、自分の悩みや気持ちを素直に話せる相手を作っておくことも大切なことです。
『名も無い日』
2021年6月11日より全国公開
イオンエンターテインメント、Zzyzx Studio
公式サイト
©2021 『名も無い日』製作委員会
TEXT by Shamy