本作は、太平洋戦争の平和記念館を設立させることで、ある人物の過去を改ざんしようとする市長(吹越満)と、それに反対する戦犯遺族、南野一家の物語。戦争や政治といったテーマを扱っていますが、どちらかというと市長と南野一家を中心とした群像劇がメインとなっているので、人間ドラマとしても観られます。南野一家の人々は市長に反発するために、かなり過激な行動をとりますが、その裏にどんな想いが隠されているのか、各人物に注目しながらご覧ください。 また、本作はフィクションですが、登場人物達がバラバラの思想を持ち、何が真実なのかわからなくなっていく展開は、現代社会にも通ずる部分があると思います。年々、戦争を知る世代が減っていくなかで、本作の市長のような人達により、過去がねじ曲げて伝えられているとしたら、本当に怖いことですし、真実を追究することの大切さも感じられます。市長vs南野一家の攻防戦がどのように決着を付けるのか、ぜひ本編で観届けてください。
デートのムードを盛り上げる要素はありませんが、映画好き、ベテランカップルなら、観ても良いと思います。戦争や政治といったテーマが描かれているので、たまにはこういった作品を観て、観賞後は本作の感想と一緒に相手の社会の見方を聞いてみるのも良いと思います。ただし、議論に熱くなりすぎて、本作の登場人物達のように過激な発言や行動をしないように気を付けてください。
子ども達も多く登場する作品ですが、戦争や政治をテーマにした物語なので、キッズは、できれば中学生くらいになって、ある程度戦争や政治について勉強してから観るほうがより理解が深まりそうです。ティーンの場合は、誰がどんな主張をしていて、どこに真実があるのか、考えながら観てください。これを機に、戦争の背景についてご自身で調べるのも良いと思います。
『なんのちゃんの第二次世界大戦』
2021年5月8日より全国順次公開
なんのちゃんフィルム
公式サイト
©なんのちゃんフィルム
TEXT by Shamy