第二次大戦終戦直後、GHQに占領された日本において、GHQと互角に渡り合った吉田茂(当時は外務大臣、後の内閣総理大臣)と、彼の右腕として活躍した白洲次郎を中心に、憲法改正にまつわるドラマが描かれた本作。資料によると、本作の伊藤俊也監督は、生まれ育った福井で空襲に遭い、小学3年生の時に終戦を迎えた戦争体験者だそうです。本作では戦地の様子が描かれているわけではありませんが、戦後の憲法改正に紛糾するGHQと日本政府のどちらも譲らないリアルな緊迫感が伝わってきます。 また、吉田茂役の小林薫は、特殊メイクを施して挑んでおり、本人にかなりそっくり!さらに演技力も加わり、言われるまで小林薫だとわからないくらい見事に吉田茂になりきっています。そして、白洲次郎を演じた浅野忠信はハリウッド映画にも多数出演しているだけあって、アメリカへの留学経験を持つ白洲次郎役をすごく自然に演じています。彼が日本の要人とGHQの間で通訳する姿もキマッています。その他にも宮沢りえ、柄本明、渡辺大、松重豊など豪華キャストが続々と登場するので、誰がどんな実在の人物を演じているのか、ぜひ細かいところまでご注目ください。
出演者のファンなどでない限り、初デートや付き合いたてでこの作品をチョイスするのは少々渋い気がするので、1人で観に行くか、映画好きの友達と観に行くことをオススメします。もし夫婦で観る場合は、白洲次郎夫婦に注目ください。夫婦揃って芯がある人物なのですが、お互いに言いたいことはきちんと言いつつも、引くところはしっかり引くバランスの良さが絶妙なので、参考にしてみるのも良いのではないでしょうか。
難しい専門用語がたくさん出てくるので、キッズは日本史の勉強を始めてから観てください。ティーンは、戦後の憲法改正時にGHQと日本の間にこんなやり取りがあったんだと驚くと思いますが、ぜひ吉田茂と白洲次郎の親子のような関係性にも注目してください。他人で年齢も20歳以上離れている2人ですが、言い合いができるほど仲の良い関係性は、観ていてすごく爽快ですし、こんな関係性も良いなと憧れますよ。
『日本独立』
2020年12月18日より全国順次公開
株式会社シネメディア
公式サイト
©2020「日本独立」製作委員会
TEXT by Shamy