意図せず殺人を犯してしまった男と、それに関与した親友達が、罪を隠し通そうと奔走する様を描いた本作。昔ながらの住人達がのどかに暮らす孤島、猪狩島では、泉圭太(藤原竜也)が栽培する黒イチジクを特産物として島を復興させようという動きがあり、地方創生推進徳辺交付金5億円の支給も決まろうとしています。過疎化に悩まされていた島に希望が訪れた矢先、ある事をきっかけに凶悪犯が島に舞い込んできます。ここから島民達の運命は思わぬ方向に転がり始めるのですが、孤島という閉鎖された環境特有の風潮が意外な展開をもたらします。
本作では犯人は最初からわかっていて、それがバレてしまうのか隠し通せるのかというところでハラハラドキドキさせられます。また、被害者と加害者の位置づけも悪人が善人を殺すというものでもない点で、何が正義なのかが曖昧になり、人間関係がどんどん複雑になっていく展開が物語を一層ドラマチックにしています。そして、タイトルになっている“ノイズ”は何を指しているのだろうと考えながら観ると、いろいろな意味に捉えられて最後にゾッとさせられます。さらに注意深く観ていると何となく気になる撮り方をしているシーンもあるので、ぜひ念頭に置きながら観てください。忘れた頃にそれが全部繋がるので、最後の最後まで余すところなく楽しめますよ。
ロマンチックなムードになるようなストーリーではなく、途中直接的には映りませんが衝撃的なシーンもあるので、ウキウキワクワクして過ごしたいデートには向かないでしょう。ただ、鑑賞後に話したくなる要素はあるので、既に何度かデートをしたことがありお互いの好みがわかっているカップルなら、一緒に観ても良いのではないでしょうか。豪華キャストというところでも誘いやすさはあると思います。
R指定などは付いていませんが、衝撃的な展開が含まれるので、中学生以上になってから観るほうが良いのではと思います。過疎化が進む孤島で数少ない若者が島の希望を一手に背負う様子などは、状況は違えど、若い皆さんなら一層身近に感じられるかもしれません。友達関係も物語の重要な鍵を握っている点でもいろいろ考えさせられるところがあります。謎解きのおもしろさもあるので、友達と一緒に観に行って、鑑賞後にいろいろ振り返って会話を楽しんでください。
『ノイズ』
2022年1月28日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
©筒井哲也/集英社 ©2022映画「ノイズ」製作委員会
TEXT by Myson