こ〜れ〜は〜や〜ば〜い映画です(笑)。個人的に大好物の部類で大変楽しめました。ストーリーが展開していくなかで嫌な予感しかしません。嫌な予感が的中したり、嫌な予感が外れてホッとしても次の嫌な予感が的中したり、ある意味ジェットコースター・ムービーともいえます。
人間の登場人物はごく限られていて、セリフが少なく、動物の表情もとても丁寧に捉えて演出に活かしています。だからこそ、何とも言えない不気味さが全編に立ちこめ、観る者をゾクゾクさせます。「何、何、何が起こったの?」というシーンもふんだんで、後に真相が明かされていくわけですが、カメラアングルやシーンの構図の妙を感じます。
気味の悪さと怖さが大半を占めるなか、途中ツッコミどころ満載のシーンもぶっ込まれています(笑)。ここは観る人によって反応が分かれそうですが、私は1箇所爆笑したシーンがありました。そんなメリハリも本作の魅力です。
本作はタブーを描いており、奇抜なストーリーとして楽しむことも可能です。ただ、それで終わるともったいない。本作には人間のエゴに警鐘を鳴らす面があり、社会問題を極端な形に置きかえた比喩でもあります。観る人によって解釈はいろいろ出てきそうですが、生殖にまつわる問題と倫理、そこから派生するアイデンティティの問題、引いては人種問題といったところが盛り込まれているように私は感じました。最後まで観終わった後に、いろいろと確かめたくなることが沸々と沸いてきて、再度観たくなります。「あれって、もしかしてこういう意味だったのかな?」と所々思い返すと、後からさらにジワジワと人間の狂気に気付かされるような内容です。深掘りして映画を観るのが好きな方に特にオススメの1作です。
かなりクレイジーな内容で、ロマンチックなムードにしてくれる作品ではありません。ただただあんぐりしながら見入ってしまうと思うので、映画鑑賞中はデートをしていることを忘れてしまいそうです。初デートにはオススメしませんが、観終わった後に話したくなることは出てくると思うので、ある程度交際期間を経て何でも気楽に意見を出し合えるカップルは一緒に観ても良さそうです。
15歳になれば観ることができますが、いろいろな意味でかなり刺激的です。不気味さが脳裏に残るようなシーンもあり、皆さんの映画鑑賞史上、記憶に残る作品となるでしょう。それが功を奏するかどうかは、観る側のスタンスや映画鑑賞の価値観に寄るところではないでしょうか。
『LAMB/ラム』
2022年9月23日より全国公開
R-15+
クロックワークス
公式サイト
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TEXT by Myson