このタイトルからして、ロマンチック・ラブストーリーかと期待する人も多いと思いますが、意外なカラクリが隠されているラブストーリーでありつつ、最後まで観ると人間ドラマという印象を持たらす構成となっています。本作は、1984年の発売以来、世界中で長らく愛されているクリスマスソングの定番、ワムの“ラスト・クリスマス”からインスパイアを受けたとされるストーリーになっていて、これもこの物語に隠されたカラクリを解くヒントになっています。監督はポール・フェイグ、名女優エマ・トンプソンは今回脚本も手掛けていて、主演はエミリア・クラークが務めています。共演には、ミシェル・ヨー、『クレイジー・リッチ!』の御曹司役でブレイクしたヘンリー・ゴールディングが名を連ねていて、この面々だけでも興味をそそられる人も多いのではないでしょうか。何か大変な出来事を経験して、「私が私でなくなってしまった」と感じるようになった主人公が、自分と人生を取り戻していく爽やかな物語。クリスマスムードも存分に味わえますよ。
キャラクター設定がユニークなので、自分達に置き換えて気まずくなるようなストーリーではなく、でもロマンチックなシーンもちゃんとあるので、どんな段階のカップルでもデートで観やすいと思います。家族の物語でもあるので、観終わった後に自然に家族について話すきっかけを作れそうです。出会ったばかりのカップルなら、お互いに家族の話をしてもっと知り合うきっかけにするのもアリでしょう。
「え?そういう話だったの!」という驚きはあると思いますが、シンプルな内容なので、小学校高学年くらいなら充分楽しめると思います。いつも失敗ばかりしている主人公が、なぜそうなってしまったのかを受け入れ、変わろうとする姿は誰もが共感できるはず。そして、見えないところで温かく見守ってくれる人がいることの尊さも教えてくれます。
『ラスト・クリスマス』
2019年12月6日より全国公開
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
TEXT by Myson
© 2019 UNIVERSAL STUDIOS