エミリー・ビーチャムとベン・ウィショーの怪しげな白衣姿にも興味をそそられる本作は、あるバイオ企業で新種の植物開発に取り組む研究者のアリスが、持ち主に幸せをもたらす特殊な花の開発に成功するも、その花が成長すると共に周囲の人々の様子が少しずつおかしくなっていき…という物語です。「絶対に花に何かあるに違いない!」と、感じる方も多いと思いますが、開発者であるアリスは、自分が作った花に愛着があり、自分の研究に疑いを持っていないので、最初は観ていてちょっとやきもきすると思います。でも、物語が進んでいくと、誰がおかしくて誰がまともなのか、観ている側も混乱してくるので、ぜひ皆さんの目で真実を見極めながらご覧ください。
作品全体に怪しげな雰囲気が漂っているのですが、特にインパクトがあったのが音楽。観ていると、きっと皆さんも「あれ?もしかして和楽器の音?」と感じるはずですが、本作には日本人作曲家の伊藤貞司による雅楽と西洋のクラシックを融合した音楽が使用されているそうです。本作は、ホラー映画ではありませんが、怪しげな音楽を聴いていると日本の“怪談”を彷彿とさせる不気味さも感じるので、ぜひ音楽にもご注目ください。
恋愛要素も少しだけありますが、花によって人々が少しずつおかしくなっていく話が軸となっているので、ムードを盛り上げるタイプの作品ではありません。でも、いつもと同じようで何かが少しだけ違うという微妙な違和感を感じることは、恋人同士や夫婦間でとても大切なことだと思います。これを機にそういったお互いの微妙な変化にも気付けるよう心がけると、お互いの好感度や信頼度のアップに繋がりそうです。
一見美しい花が少しずつ人々の心を侵食していくという心理的な怖さのある物語なので、キッズは中学生くらいになってから観ることをオススメします。ティーンは、アリスの息子と同世代になるので、彼に共感しながら観ることができそうです。“幸せをもたらす花”と聞くと、すごく魅力的ですが、もし皆さんの前にこの花があったら手に入れたいと思いますか?また、皆さんはどうやって幸せを手に入れるのが本当の幸せだと思いますか?ぜひ本作を通してご自身の幸せについて考えるきっかけにしてみてください!
『リトル・ジョー』
2020年7月17日より全国順次公開
ツイン
公式サイト
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TEXT by Shamy