ヴィレッジヴァンガードが何に逆襲するのだろうと思ったら、「そういうことか」と観て納得。“皆同じが良い”という価値観がはびこる世界に飲み込まれたサブカルを愛する人々が、逆境のなかでサブカルへの愛を貫く物語となっています。…って、この説明でも「?」となりますよね(笑)。真相は映画を観てもらえればわかりますが、サブカルのプライドが見える内容になっているだけでなく、サブカル好きの自戒も描かれている点で、誰でも共感を覚えるはず。味方が少なかろうが、誰にも負けないくらい何かを好きってことが、生きる力になるということをコミカルに描いた作品となっています。キャラクター達がワチャワチャしている様子も楽しくて親近感が湧き、それぞれ大好きなものが違っても、夢中になってそれについて話せる相手がいるって幸せだなと思えるでしょう。
この映画が作られた経緯は別として、企業PR的に作られた映画はこれまでも存在しましたが、ヴィレッジヴァンガードは、ある種の文化を築いてきたからこそなのか、コマーシャル作品のようなわざとらしさはありません。ヴィレッジヴァンガードを知っている人も知らない人も、フラットなスタンスで楽しめると思います。
ほんのりラブストーリーの要素はありつつ、デートで観て気まずくなるような内容ではないし、クスッと笑えてホッコリできる内容なので、デートで観るのもオススメです。観終わった後は、趣味など何が好きかという話に自然になると思うので、初デートで観るのも良いでしょう。サブカルという響きで逆に「わからない」と思う人もいると思いますが、そういったステレオタイプなイメージを払拭する内容となっているので、構えずに観てください。
キッズの皆さんは何がサブカルかというところさえまだわからないかもしれませんが、本作を観れば直感的に何を言いたいストーリーなのかはわかってくると思います。ティーンになるとだんだん好きなものが明確になってきて、どんどんマニアックになる人もいるでしょう。そうなると感覚を共有できる人が身近にいないという状況になることもありそうですが、そんな人こそ本作を観てください。何を好きでも良いんだと気持ちが軽くなるし、どこかに必ず仲間はいると希望を持てるでしょう。
『リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜』
2020年10月23日より全国公開
イオンエンターテイメント
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TEXT by Myson