REVIEW

ロストガールズ

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『ロストガールズ』エイミー・ライアン

アメリカで起きた実際の未解決事件を映画化。離れて暮らす娘シャナンが急に消息を絶ったことで、母メアリーと妹のシェリー、サラ達は警察に捜索を依頼したものの、警察は真剣に取り合う気配はありません。そんななか、たまたま娘が姿を消した現場の近くで複数の女性の遺体が発見されます。そこで、その遺体の身元が皆売春婦だということが報道されるのですが、「売春婦なんだから危険を承知でやってるんだろう」という自業自得と言わんばかりの警察の手抜きの理由、社会の冷たい目が浮き彫りにされます。また事なかれ主義も働いていて、捜査は思うように進まず、怪しい人物がいるのに野放しという状況が恐ろしいです。
この事件には、職業差別、性差別という問題が根底に見えますが、なぜ勝手に命の価値を他人に決められなければいけないのか、犯人にも警察にも憤りを感じます。さらにここには貧困という問題も見えてきますが、私達が思っている以上に貧困はあらゆる他の問題を引き起こしていることを実感します。本作は事件の捜査状況がどうだったかに焦点を当てていて、遺族達のそれぞれの背景までは細かく描かれていませんが、売春をするに至った女性達の家庭環境にDVや虐待などがあるケースが多い(劇中の人物がそうであるかは別として)ことも伝わってきます。もうこうなると、被害者はどこの誰を信じて良いのかわからない状態なんだなと想像できますが、日本でももうこの問題は他人事ではありません。そう思うととても身近なお話だと思います。

デート向き映画判定
Netflix映画『ロストガールズ』エイミー・ライアン

実際の未解決事件を映画化していて、テーマが重いので、デートには向かないと思います。ただ、たとえ犠牲者と境遇が違っても、万国共通にある世の中の良くない風潮も描かれているので、自分達の身近な問題に置きかえて考えられる部分があります。社会問題に興味があるカップルなら一緒に観て、討論し合うのも良いのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『ロストガールズ』

娘のために必死に戦う母親と、それを見つめる妹達の姿を映し出していて、子どもは子どもでそれぞれに立場が違って、それぞれの目線で母親を見ていることがわかります。親子だから言えないこと、親子だから伝えたいこと、両方があり、それを主人公達はどうやってぶつけていくのか、親子で一緒に観るのも良いかも知れません。

Netflix映画『ロストガールズ』エイミー・ライアン

『ロストガールズ』
2020年3月13日よりNetflixにて配信
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『喝采』ジェシカ・ラング 『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ メイソン・テムズ【ギャラリー/出演作一覧】

2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

「Kodansha Studios 設立発表会見」野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)、 クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)、 ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO) 映画業界に新風を吹かせられるか?2025新レーベル発足および官民の取組みまとめ

今回は近日発足された新レーベルと、官民の取組みについてまとめて紹介します。

映画『果てしなきスカーレット』 果てしなきスカーレット【レビュー】

細田守が原作、脚本、監督を担当した本作は、16世紀のデンマークの王女、スカーレットが主人公です。細田監督は…

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『果てしなきスカーレット』
  2. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  3. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  4. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  5. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人

PRESENT

  1. 映画『喝采』ジェシカ・ラング
  2. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP