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零落【レビュー】

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映画『零落』斎藤工

長い連載が終わり、次作もなかなか書けず、人気に陰りが出てきた漫画家の物語。本作には、漫画の人気が出ればもてはやされ、人気がなくなると手のひらを返したようにぞんざいに扱われる、漫画家の立場が生々しく描かれています。本作の原作は「ソラニン」などヒット作を生んだ人気漫画家、浅野いにおによる「零落」。人気漫画家自身が、人気漫画家を主人公に描いているわけですから、この原作も身を削って書かれたものといえるでしょう。この物語には世の中が作り上げた漫画家のヒーロー的なイメージと、実際の漫画家が自覚する姿とのギャップに対する悲痛な叫びが込められています。漫画家に限らず、人気商売の過酷さを実感する内容で、人気の有無に左右される仕事に就かれている方、そういった業界にいる方にとっては特に身近なテーマであるのはもちろん、昨今SNSで人気を集めることに関心が置かれる風潮を考えると、誰にでも当てはまるテーマともいえます。
自分が作りたい作品を作ることと、人気を得ることは必ずしも一致しない。これはクリエイティブな仕事をする方、目指す方がいつかぶつかる問題です。また、人気が出たら出たでできることが増える一方、できなくなること、手放さなければいけないことも増える。途中で気付ければ何とかできるのかもしれませんが、無我夢中でやってきて夢を掴んだと思ったら、気付かないうちに自分でもどこにいるのかわからない。本作を観ていると、そんな怖さも知ることができます。主人公と同じような状況にあるとして、本作を観てどうしたらよいという答えは正直見つかりません。でも、何ともいえない余韻がズシンと残り、1度自分の現在地を確認することはできます。そこでどちらに進むのかを選ぶこと、覚悟を決めることはできるのかもしれません。

デート向き映画判定
映画『零落』斎藤工/趣里

夫婦の複雑な関係も描かれていて、デートのムードが盛り上がる内容ではありません。ただ、仕事に没頭するあまりコミュニケーションが取れていないと感じているカップルには、自分達を客観視する良い機会になるのではないでしょうか。何となくずっと一緒にいるという感覚になってしまったマンネリカップルにも、何らかの刺激をもたらしてくれそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『零落』斎藤工

将来やってみたい仕事について、皆さんにはまだ理想や夢を持っていて欲しいと考えると、本作はもう少し大人になってから観ても良いのかもしれません。ただ、現実を知っておくことで「それでもやりたい」という思いが強まり、覚悟ができるのであれば観て損はないでしょう。具体的に進路を考え始める中学生、高校生くらいで観ると、自分の人生観を構築する上で参考になる部分があるかもしれないですね。

映画『零落』斎藤工

『零落』
2023年3月17日より全国公開
PG-12
日活、ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

©2023 浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会

TEXT by Myson

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