REVIEW
ジャッキー・チェン50周年&70歳の記念となる本作は、スタントマンが主人公の物語となっています。ジャッキー・チェンが演じるルオ・ジーロンは、伝説のスタントマンとして知られながら、怪我を機に第一線から退き、借金に追われています。そんなルオの心の拠り所は、愛馬のチートゥ(赤兎)です。ルオはチートゥを息子のように可愛がり、共にエキストラなどをして細々と暮らしています。そんなある日、ルオとチートゥに難易度の高いスタントの依頼が舞い込んできます。
なぜ馬なのか、と思いながら観始めて、最後にこの設定の巧さを感じます。そして、スタントマンと愛馬との絆の物語であり、離れて暮らしていた娘との親子の物語である点も、本作のメッセージを伝える上で要となっています。本作はスタントマンの貢献を讃えつつ、時代の変化を認め、これからの映画制作について一石を投じる内容となっています。実際に命懸けでスタントをやってきて、名実ともにスターであるジャッキー・チェンがこの物語を演じるからこそ、説得力があるのだと思います。だから、50周年&70歳の記念として、スタントマンの役を選んだのだろうなと、その思いが伝わってきます。
同時に、この物語は映画業界に限らずどの業界にも通じる内容だと思います。職人技を磨いてきたベテランの技術と高いプロ意識は受け継がれていくべき部分もありながら、これまでのやり方に縛られたままで、仕事のために何もかもを犠牲にすることは果たして正しいことなのかは考えなければいけません。そうしたメッセージを本作はユニークな形で伝えてくれます。
そして、エンドロールではジャッキー・チェン作品でお馴染みのメイキングシーンが流れます。また、劇中を含め、これまでのジャッキー作品の名スタント場面が散りばめられています。ぜひ最後まで席を立たずにご覧ください。
デート向き映画判定
動物との絆、親子の絆を描いたアクション映画なので、どんな層にも観やすい内容です。気まずくなるようなシーンはまったくないので初デートで観ても問題ありません。主人公の夫婦関係では現実的な面が描かれていながらも、共感できる部分があります。どちらかが仕事人間になってしまっているカップルは、本作を一緒に観ると、自分達の関係を一歩引いて見られそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定
皆さんの中にも、親の仕事が忙し過ぎて寂しい思いをしている方もいるかもしれません。そんな方は主人公の娘の目線で観られると思います。一方で、将来の仕事観をシミュレーションできる部分があります。スタントマンに限らず、自分が打ち込める仕事に就けた人ほど、仕事とプライベートのバランスを取る難しさに直面することが出てくると思います。正解はありませんが、自分なりにどんな働き方をしたいか考えるきっかけにしてみてはどうでしょうか。
『ライド・オン』
2024年5月31日より全国公開/10月2日ブルーレイ&DVD発売
ツイン
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TEXT by Myson
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