無線機でのみ過去と現在が繋がっていて、両方の時空にいる刑事が協力し、長期未解決事件の真相を探るというストーリーがとてもユニークです。ドラマ版の原作は韓国の傑作ドラマということですが、この劇場版はオリジナルストーリーだそうです。私はドラマ版は観ずにこの劇場版から初めて観ましたが、これまでの背景は本作だけでも読み取れるように作られているので、ドラマ版の視聴者でなくても楽しめると思います。
長期未解決事件だからこそドラマチックにできる伏線が散りばめられていて、複雑に絡んでいく人間関係を新たな視点で見返すことで、謎が解けていくおもしろさがあります。坂口健太郎が演じる主人公が先を読んで機転を利かせる姿も観ていて爽快です。時空ものなので、つじつまを考え出すときりがないというか、頭がこんがらがりますが(苦笑)、頭を使って観るのも良し、気楽に観るのも良しのサスペンスです。
推理しながら観る楽しさもあるので、観終わった後にはどこで真相に気付いたかなど、会話のネタにしやすいと思います。ロマンチックなムードになるタイプの映画ではありませんが、カップルで観て気まずいことはないので、初デートで観るのもありでしょう。本作が気に入ったら、ドラマ版を配信で一緒に観る約束をするのも良いですね。
時空を超えたストーリーは、構造を理解しようとして頭を使うので、頭の良い体操にできそうです。親子や友達と観て、鑑賞後は過去が変わることで現在がどんな影響を受けるのか、図解で整理してみるのもおもしろそうです。時空を扱う物語を描いた作品は複数あるので、比較をしても楽しめると思います。
『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』
2021年4月2日より全国公開
東宝
公式サイト
© 2021「劇場版シグナル」製作委員会
TEXT by Myson