REVIEW
新人助産師のルイーズ(エロイーズ・ジャンジョー)とソフィア(カディジャ・クヤテ)を主人公に、フランスの産科病棟の日常を描いた作品です。日本では助産師の数がかなり減っていて、助産師の介助で行われる出産が減ってきている現状をご存知の方は、本作で映し出される出産の現場を観ると、お国柄の違いを感じると思います。本作を観ると、フランスでは、異常がない場合はほとんど助産師が担当し、医師は必要な時のみ対応しているとわかります。
出産は命懸けといわれるなか、本作にはまさにその実態が描かれています。出産者の数に対して助産師の数が足りておらず、助産師は過労で疲弊しています。それでも陣痛が始まった妊婦を追い返すわけにはいかず、切迫した状況で対応しています。そんななか、生まれてきた子どもに異常があると、助産師は重責を背負います。そうした状況で自信をなくしたり、役に立ちたい気持ちと葛藤する助産師達の姿が映し出されています。出産は無事できても、別の問題を抱えた妊婦もいます。だから、助産師達は出産を助けたら終わりではない現実を私達も目の当たりにします。
本作が映し出しているのは、助産師達の淡々とした日常に見えて、実際で考えるとかなり大きな出来事が起こっています。もしも自分が彼女達の立場だったらと想像すると、あれほど重いプレッシャーに耐えられそうにありません。本作では助産師達のやり甲斐と共に、過労が強いられる現場で失われつつある大切なことについて問題提起をしています。こんなジレンマがあれば、精神的にも耐えられなくなるのは納得です。本作では助産師達の現場で起きている問題として描かれていますが、職業を問わず共通する問題ともいえます。本作は日本でも無縁ではない内容です。
デート向き映画判定
デートのムードに合う内容とはいえないものの、これから一緒に家庭を築こうとしているカップルは、出産の過酷さを共有できるので、一緒に観るのも有意義だと思います。フランスと日本では事情が異なるものの、将来子どもを持とうと考えているカップルはこれを機に事前に調べてみるのも良いでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定
赤ちゃんが産まれる前、その瞬間、その後と、お母さんがどんなに大変な状況で出産を乗り越えるのかを知ることができます。家庭や学校でどうやって子どもが産まれるのかを教えてもらったら、本作も観てみると、いろいろ考えさせられる部分があるかもしれません。
『助産師たちの夜が明ける』
2024年8月16日より全国順次公開
パンドラ
公式サイト
TEXT by Myson
本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。