2007年に公開されて大ヒットしたハリウッド版を日本の女性版にした本作では、全く異なる生き方をしてきた2人の女性が、余命わずかという共通点を持ったことから、人生最後の貴重な時間を一緒に過ごします。既にハリウッド版で内容を知っているという人は、ハリウッド版と比較するのもおもしろそうですが、女性に設定が置き換わることで出てくるテーマの新鮮さがあるので、これはこれで別物として観るのもアリだと思います。こんなことでもなければ交わることのなかった正反対の生き方をしてきた2人の女性が意見をぶつけ合うシーンには、すべての女性を讃えるメッセージが込められていて、人と比較する必要はなく、自分の生き方を誇りに思って良いんだと思わせてくれます。また、70代にして見事にウェディングドレスを着こなす吉永小百合と、ハマり役を豪快に演じる天海祐希、二大女優の共演も見ものです。ムロツヨシが演じるキャラクターも、良い感じで笑えるスパイスになっていて、泣いて笑って、心がスッキリする作品になっています。
残された限りある時間の中で、2人の女性がそれぞれにこれまで目を背けていたことに向き合い、最期まで懸命に生きる物語で、男女問わず共感できる内容です。どちらかというと、いろいろと苦労してきた大人がより共感できるストーリーなので、大人カップルにオススメです。ベテラン夫婦にまつわるロマンチックな展開もあるので、マンネリしているカップルや夫婦こそ観ると良い刺激を受けられるかも知れません。
キッズやティーンの皆さんには、主人公が置かれた状況を想像するのは難しいと思いますが、「もしお父さん、お母さんがこの主人公のような状況だったら…」と、子ども目線で観て感情移入できるところがあると思います。特に吉永小百合が演じている母親については、子どもとの関係性も描かれているので、親の有り難みを実感できるはずです。
『最高の人生の見つけ方』
2019年10月11日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
©2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会
TEXT by Myson