主人公のサンドラは、あることをきっかけに夫の元を離れ、2人の幼い子どもとホテルで生活しています。しかし、公営住宅には長い順番待ちがあり、いつになったら自宅を見つけられるかわからないため、自らの手で家を建てることを決意します。建築に関して何の知識もないサンドラが家を建てようと決断すること自体に驚きますが、彼女がシングルマザーとして2人の娘を守るために、必死に頑張る様子は、心から応援したくなります。ですが、やはり一筋縄で上手くいかないのが映画の醍醐味。家を建てるには、土地や材料はもちろん、お金も人も必要で、サンドラは多くの壁にぶつかります。
コミュニケーション下手なサンドラが、自宅の建築を通していろいろな人達と出会い、交流していく様子にも胸が熱くなりますし、子ども達の無邪気な笑顔にも癒やされます。映画全編からサンドラの女性としてのたくましさや母としての偉大さを感じると共に、普段当たり前のように暮らしている自宅の大切さや温かさも再確認させてくれる作品です。
デートを盛り上げる要素はありませんが、長い付き合いのカップルや映画好きのカップルなら観ても良いと思います。サンドラの場合、あることをきっかけに夫の元を離れる決意をしますが、彼女の決断力や行動力は恋愛関係において大切なことだと思います。相手のことを見極めるのはもちろんですが、自分の心の声に耳を傾けることも忘れないでください。
サンドラの娘達も登場しますが、メインは母サンドラの物語なので、キッズはできれば中学生以上になってから観ることをオススメします。ティーンの皆さんは、サンドラの心情に注目して観てください。母の気持ちに共感するのは難しいかもしれませんが、サンドラがさまざまな壁にぶつかりながらも一生懸命行動する姿には皆さんも心打たれるものがあると思います。
『サンドラの小さな家』
2021年4月2日より全国公開
ロングライド
公式サイト
©Element Pictures, Herself Film Productions, Fís Eireann/Screen Ireland, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute 2020
TEXT by Shamy