主題歌の作詞、作曲は秦基博、挿入歌はあいみょんが担当しているとのことで、音楽性に気合いを感じる本作。彼らが書き下ろした楽曲は、小松菜奈と門脇麦が演じる、女性ギター・デュオ“ハルレオ”が劇中で何度も歌うのですが、2人ともすごく声が良くて、独特な味も出していて、鑑賞後も耳に残ります。歌手が俳優として出演している時にも上手いなと思う事がしばしばありますが、逆も然りで、やはり表現者として長けている人は、どちらをやらせても上手ですね!
小松菜奈、門脇麦、成田凌が演じるキャラクターはタイプは違えど全員とても不器用で、先が見えなくても進まなければ掴めない夢と、厳しい現実との狭間で悩みながら、一方通行にしかならない恋愛にももがく姿がとてもリアルです。彼らの奮闘を観ていると、胸が締め付けられる部分がありますが、かしこく器用に生きなくても、自分に自信がなくても、誰かにとっては光る存在だったり、大切な存在なんだと感じられて、ありのままを受け入れる勇気をもらえるはずです。
恋愛要素も含まれますが、どちらかというと、夢を追う仲間との友情物語が軸になっているので、気まずくなるほどではないと思います。楽曲がすごく良いので、音楽好きのカップルにもオススメです。相手を好きだからこそ自分の中にしまい込んで悩んでいることや、将来のことなどを語るきっかけにするのも良いでしょう。
本当に仲の良い友達は、時に傷つけ合うことがあっても、切れない絆があるということが本作を観ると実感できると思います。お互いを思うからこそ強く当たってしまったり、突き放してしまうこともあると思いますが、逃げずに本気でぶつかれば、もっと絆が深まるはずです。表面的な仲の良さと、本当の仲の良さの違いは何か、本作観賞を機に考えてみるのも良いでしょう。
『さよならくちびる』
2019年5月31日より全国公開
ギャガ
公式サイト
© 2019「さよならくちびる」製作委員会
TEXT by Myson