REVIEW

石門【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『石門』ヤオ・ホングイ

REVIEW

ホアン・ジーと大塚竜治が共同監督を務める本作は、2023年 11月に行われた金馬獎(中華圏のアカデミー賞)で日本資本の映画として初めて作品賞を受賞しました。過去に同賞の作品賞を受賞した中には、『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン)、『グリーン・デスティニー』(アン・リー)、『インファナル・アフェア』(アンドリュー・ラウ)、『ラスト・コーション』(アン・リー)、『1 秒先の彼女』(チェン・ユーシュン)などが名を連ねています(映画公式資料)。

映画『石門』ヤオ・ホングイ

客室乗務員を目指す20歳のリンは、ある事がきっかけで妊娠していることに気づきます。でも、自分達では育てられないと考えていたなか、実家の問題が絡み、事態は思わぬ方向に進んでいきます。本作では、1人の女性の日常が淡々と映し出されているように見えて、ハラハラすることがたくさん起こっています。

映画『石門』ヤオ・ホングイ

物語の舞台となる中国湖南省の長沙市がどんなところかは知らないものの、遠い国の話には思えません。リンが関わる闇アルバイトは日本では聞かないまでも、実際は日本でもあるのかもしれないなと思いながら観ていました。一方リンの母の問題は日本でもよく聞く話で、何とかできそうでできない状況を観てもどかしく感じます。

映画『石門』ヤオ・ホングイ

負の連鎖にハマっていく彼女達の様子を観ていると、良くも悪くも家族の重さを感じます。ある意味で家族を大切にしている一方で、家族のためにどこまで犠牲を払えばいいのか、判断の難しさを痛感します。そして、家族の犠牲になると同時に、家族を犠牲にしている状況が何ともいえない感情を湧き上がらせます。正直なところ、この物語をどう受け止めればよいのかまだ答えが見つからずにいます。

デート向き映画判定

映画『石門』ヤオ・ホングイ

カップルで観るには微妙な内容かなと思います。終始重い空気が続くのであまりデートには向いていないでしょう。家族のこと、仕事のこと、恋愛のこと、観る方それぞれで注目ポイントが異なると思います。1人で物語に浸りながら、じっくりいろいろなことを考えるきっかけにしてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『石門』ヤオ・ホングイ

大人向けの内容ながら、20歳のリンに近い年齢なら、学業、就職など関心事に共通点も多く、等身大の感覚で観られると思います。他にも若い女性が複数登場し、異様な光景も目にします。リン以外の女性の背景は詳細が描かれていないものの、生活に苦労する人々のやむない選択を目の当たりにして、いろいろ考えさせられます。社会を知るきっかけとして観てみてください。

映画『石門』

『石門』
2025年2月28日より全国順次公開
ラビットハウス
公式サイト

©YGP-FILM

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『STEP OUT にーにーのニライカナイ』仲間由紀恵/Soul STEP OUT にーにーのニライカナイ【レビュー】

“TRICK”シリーズや舞台“テンペスト”の仲間由紀恵と堤幸彦監督が10年ぶりにタッグを組んだ本作は…

映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー ロングレッグス【レビュー】

ニコラス・ケイジがプロデューサー兼連続殺人犯を演じている本作は…

映画『白雪姫』スペシャル歌唱イベント:レイチェル・ゼグラー、吉柳咲良(日本語吹き替え版キャスト) 一生に一度しかないのではないかという想いで大事にしてきた作品です『白雪姫』レイチェル・ゼグラー来日

映画『白雪姫』で白雪姫役を演じたレイチェル・ゼグラーが初来日を果たし、日本語吹き替え版で白雪姫の声を担当した吉柳咲良と共にイベントに登壇しました。

映画『ケナは韓国が嫌いで』コ・アソン ケナは韓国が嫌いで【レビュー】

自分の現状に違和感を持っていても、打破しようと行動を起こすのは…

映画『ミッキー17』ロバート・パティンソン 『ミッキー17』ポン・ジュノ監督登壇!ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『ミッキー17』ポン・ジュノ監督登壇!ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世 35年目のラブレター【レビュー】

戦時中に生まれ、家庭の事情から小学校を卒業できないまま大人になった主人公と、彼を支えた妻の物語を描いた本作は、実在する西畑保氏…

映画『敵』長塚京三 長塚京三【ギャラリー/出演作一覧】

1945年7月6日生まれ。東京都生まれ。

映画『デビルズ・ゲーム』チャン・ドンユン/オ・デファン ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き29】2025年3月前半「気になる映画とオススメ映画」

今回は、第97回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞の5部門を受賞した『ANORA アノーラ』の話題からスタート。その他、ソダーバーグ監督のホラー、ニコラス・ケイジ最新作など、さまざまな作品を取り上げました。

映画『Playground/校庭』マヤ・ヴァンダービーク/ガンター・デュレ Playground/校庭【レビュー】

子ども達はいつも戦っていて、大人の世界とは異なる過酷な毎日を過ごしている…

映画『ワンダー 君は太陽』ジュリア・ロバーツ/ジェイコブ・トレンブレイ 学びが詰まった映画『ワンダー 君は太陽』【映画でSEL】

前記事で、商業映画とSEL(社会性と情動の学習)は相性がバッチリだと書きました。今回はこれぞ学べる映画と感じた作品を取り上げます。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ワンダー 君は太陽』ジュリア・ロバーツ/ジェイコブ・トレンブレイ
  2. 【映画でSEL】複数子ども手を繋ぐ後ろ姿
  3. 映画『インサイド・ヘッド2』

REVIEW

  1. 映画『STEP OUT にーにーのニライカナイ』仲間由紀恵/Soul
  2. 映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー
  3. 映画『ケナは韓国が嫌いで』コ・アソン
  4. 映画『35年目のラブレター』笑福亭鶴瓶/原田知世
  5. 映画『Playground/校庭』マヤ・ヴァンダービーク/ガンター・デュレ

PRESENT

  1. 映画『ミッキー17』ロバート・パティンソン
  2. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
  3. 「第6回大島渚賞」
PAGE TOP