まずメインキャストがすごくイイ!主演のヤン・イクチュンはやっぱり期待を裏切りません。主人公の複雑な心情を見事に体現しています。そして、主人公の妻ガンスンを演じたチョン・ヘジンのコメディエンヌぶりには目を見張るものがあります。また、ただコミカルなだけじゃなく、後半の展開でリアルな女性像を演じている点でも引き込まれます。セユン役のチョン・ガラムも、一見ミステリアスなイケメンながら中身がグチャグチャになっている青年を好演。そんな彼らの演技と魅力が、この切なくて人間臭いドラマをリアルで愛おしいものにしています。
物語には、詩人という生き物が持つおもしろさと、人間の多面性、出会いがもたらす破滅と希望が映し出されていて、それぞれのキャラクターのどこかしらに自分に近いものを感じられると思います。観ている側も複雑な気持ちにさせられつつも、「人生1度くらい、とっちらかってもいいじゃない」という思いをもたらしてくれる優しい映画です。
人間関係、夫婦関係には、何が起こるかわからないというところで、荒療治的に考えて、マンネリカップルが観ると、何らかの刺激を得られるかもしれませんが、ラブラブカップルや今は順調にいっているカップルが観ると、微妙な空気になるかもしれません(笑)。仲の良い友達と観るか、1人でじっくり観るほうが浸れると思います。
PG-12なので大人と一緒に観ることになりますが、親子で観てどんな雰囲気になるのは読めません。親子愛も描かれている点ではアリですが、それ以外の部分については、子どもの理解を助ける際に大人がどう助言するかは、そのまま保護者の価値観をぶつけることになるからです。なので、大人の頭の中、心の中が整理されていないと、子どもの質問によってはあたふたするかもしれないですね(苦笑)。
『詩人の恋』
2020年11月13日より全国順次公開
PG-12
エスパース・サロウ
公式サイト
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TEXT by Myson