REVIEW
映画公式資料によると、本作は「アメリカン・ゴシックの女王シャーリイ・ジャクスンの伝記小説に現代的で斬新な解釈を加え」て映画化された作品とのことです。ちなみに、数多くの小説が映画化されているスティーヴン・キングは、シャーリイ・ジャクスンが書いたホラー小説「丘の屋敷」から影響を受けて「シャイニング」を書いたそうです。そんなシャーリイをエリザベス・モスが怪演していて、見た目も、映画公式サイトに載っている写真のシャーリイとそっくりです。
物語の舞台は1948年。「ニューヨーク」誌にジャクスンの短編「くじ」が載り、一大センセーションを起こした後、新たに長編小説に挑みつつもスランプに陥っていたシャーリイと夫スタンリー(マイケル・スタールバーグ)が住む家に、スタンリーの助手を務めることになったフレッド(ローガン・ラーマン)と、妻のローズ(オデッサ・ヤング)がやってくるところから始まります。若夫婦はスタンリーから、スランプで引きこもっているシャーリイのために居候をしながら世話をして欲しいと頼まれます。最初、若夫婦はシャーリイの意地悪な態度に腹を立てたり困惑していましたが、シャーリイはローズからインスピレーションを受けるようになり、2人の関係が変わっていきます。
不機嫌で何を考えているのかわからないシャーリイだけでなく、スタンリーもなかなかの曲者で、観ているとまず若夫婦を心配する気持ちが芽生えます(苦笑)。でも、シャーリイとローズの化学反応が起こり始めると、物語は思わぬ方向へ進んでいきます。だから、良い意味で想像とは違う展開と結末を楽しめます。
本作が秀逸なのは、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、観る人によって異なる点です。そして女性目線では、女性として生きることの辛さと、その辛さに耐えるための強さを両方目撃することができ、不思議な爽快感も味わえます。トリッキーな映像も魅力で、結末で「???」となったとしても、二度目、三度目と観ると一度目で気付けなかったところがわかり、おもしろさがジワジワと増してくると思います。逆にいえば、好みが分かれそうでもありますが、ハマる人はハマるはずです。
デート向き映画判定
性描写が複数出てくるので、初デートで観るには気まずいでしょう。さらに、夫婦関係としても穏やかでない内容が含まれるので、心に何かしらしこりを残したままのカップルが一緒に観ると、良からぬ心配や不安が再発するかもしれません。ただ、観終わった後に摺り合わせをしたくなる要素があるので、仲の良い友達と観るのが良いでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定
大人向けの内容で、集中力や理解力も必要な部分があるので、せめて中学生くらいになってから、さらに映画を観ながら思考を巡らせるのに慣れてきてから観るほうが楽しめると思います。若いうちに一度観て、だいぶ大人になってからもう一度観ると、感じ方が変わるかもしれません。
『Shirley シャーリイ』
2024年7月5日より全国公開
サンリスフィルム
公式サイト
© 2018 LAMF Shirley Inc. All Rights Reserved
TEXT by Myson
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情報は2024年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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