『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』を手掛けた行定勲が企画プロデュースを務めている本作では、行定勲と共に数々の作品を作り出してきた伊藤ちひろがオリジナル脚本を書き下ろし、監督も務めています。主人公の未山(坂口健太郎)は、目の前に存在しない“誰かの想い”が見える青年で、その不思議な力で身体の不調に悩む人や、トラウマを抱えた人を癒やしています。そんなある日、未山の前に謎の男(浅香航大)が現れます。
未山はとても優しい性格で、恋人の詩織(市川実日子)や、その娘の美々(磯村アメリ)と穏やかな生活を送っています。この3人の関係はとても素敵で、特に詩織がどんな時でも前向きに温かく未山や美々を見守る姿が印象に残ります。また、謎の男や元恋人も未山と関わる重要な人物として登場するので、それぞれの人間関係にも注目です。
どのシーンもとても美しく、光や色の使い方などにもこだわりを感じます。作品資料によると、伊藤監督は美術、装飾スタッフ出身だそうで、その手腕が本作でも発揮されています。未山の持つ不思議な力も映像として上手く表現されていて、リアルともファンタジーとも受け取れる不思議な世界観が描かれています。あまり詳細は明かせませんが、ところどころで「あれ?」と思う場面もあるので、細部まで注意深くご覧ください。アート系の作品や、ファンタジー、ミステリー系の作品が好きな方には特にオススメです。
修羅場のようなシーンはないものの、恋人と元恋人が対面する場面があるので、付き合いたてのカップルで観ると少しハラハラするかもしれません。それ以外は特別気まずくなる要素はないので、付き合いの長いカップルなら一緒に観ても大丈夫だと思います。また、未山と詩織はとても良好な関係を築いているカップルなので、2人の関係を参考にするのもアリです。
上映時間が130分と長く、ある程度集中力も必要なので、キッズは中学生くらいになってから観たほうが物語への理解が深まりそうです。ティーンの場合は、未山を中心とした人間関係に注目してみると、傍にいる人達の大切さも感じられるのではないでしょうか。未山のような不思議な力が自分にあったらと想像しながら観ても楽しいと思います。
『サイド バイ サイド 隣にいる人』
2023年4月14日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト
©2023『サイド バイ サイド』製作委員会
TEXT by Shamy
- イイ俳優セレクション/浅香航大
- イイ俳優セレクション/市川実日子(後日UP)
- イイ俳優セレクション/坂口健太郎