“クリスマス、東京”というキーワードだけ聞くと、キラキラしたラブストーリーを想像してしまいますが、緊迫感バリバリのクライム・サスペンスです。本作は、“アンフェア”シリーズとしてドラマ化、映画化された「刑事雪平夏見」シリーズの原作者、秦建日子の小説「サイレント・トーキョー And so thie is Xmas」を“SP“シリーズを手掛けた波多野貴文監督が映画化。“アンフェア”דSP”ということで、アクションもサスペンスも見応えがあることはおわかりいただけると思います。クリスマスの東京が一変、爆弾騒ぎで騒然とするのですが、犯人の目的が不可解で、その裏側で人間ドラマが描かれていきます。同時に平和ぼけした日本が象徴的に描かれていて、実際にこういう状況になったら同じようなことが起こりそうに思えてきます。見慣れた渋谷の交差点が大変なことになる映像は、撮影のために設営されたセットで行われたそうですが、そういったところにスケールも感じられて、最初から最後まで緊張が解けない、ノンストップ・ムービーとなっています。
カップルで観て気まずいところはありませんが、テロ事件がベースになっているので、少々痛々しいシーンも出てきます。その点だけわかった上で観れば、デートで観るのも良いでしょう。吊り橋効果もありそうなので、観ていると自然に身を寄せるようなシチュエーションが出てくるかもしれません。鑑賞後は、どこで真相に気付いたかなど、会話のネタにもできる内容です。
犯人が抱える思いと犯罪行為の繋がりは複雑な部分もあり、キッズには少々難しいかもしれません。何でも他人事に考えていたり、ネットで流すネタとしてしか考えていなかったりという風潮が、どんな自体を招くのかというところは、良い意味で警鐘となるので、エンタテインメントとして楽しみつつ、こういう時にはどう行動すべきか考えるきっかけにするのもアリでしょう。
『サイレント・トーキョー』
2020年12月4日より全国公開
東映
公式サイト
© 2020 Silent Tokyo Film Partners
TEXT by Myson