2009年、戦地へ向かった愛する人の無事を願いながらイギリス軍基地で暮らす女性達が合唱団を結成したという実話を、『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督が映画化した本作。主人公のケイト(クリスティン・スコット・トーマス)をはじめとした軍人の妻達は、夫の安否を心配しながら生活しているなか、その苦難を乗り越えるための活動として合唱団を結成します。不安な気持ちをずっと抱えながら生活することはとても大変そうで、なるべく普段通りに生活する人もいれば、悪い知らせが来るのではないかと電話や呼び鈴にビクビクしている人などさまざまです。そんな妻達が合唱活動を通してどのように変化していくのかが本作の見どころとなっています。
大佐の妻であるケイトは、皆のためにと合唱団の活動に努めますが、その熱意が空回りしてしまい、なかなか上手くいきません。そして、もう1人の中心人物リサ(シャロン・ホーガン)も、指導方法に頭を抱えています。この2人のリーダーの姿を観ていると人をまとめることの大変さを感じますが、同時に個性豊かな合唱団メンバー達の人間ドラマも楽しめます。
少し棘があるけどどこか憎めないケイトを演じたクリスティン・スコット・トーマスの魅力も存分に発揮されており、その脇を支えるシャロン・ホーガン、ジェイソン・フレミング、グレッグ・ワイズらの名演も印象に残ります。クラシックからポップスまでさまざまな歌も堪能できるので、音楽好きはもちろん、どんな人でも楽しめる作品だと思います。
戦争という背景がありながら、良い意味で重過ぎない作品なので、デートで観るのもアリです。本作ではさまざまなタイプの妻が登場するので、結婚を考えているカップルは参考になる点がありそうです。楽しい歌のシーンもたくさんあるので、鑑賞後はカラオケに行くといつも以上に盛り上がるかもしれませんよ。
歌の素晴らしさはどんな人にも伝わると思うので、皆さんも観てみてください。本作は軍人の妻達の物語ですが、各メンバーの家族問題については皆さんも共感できると思います。また、最初はバラバラだった合唱団メンバーが少しずつ絆を深めていく姿から、団結力の大切さも学べるのではないでしょうか。
『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』
2022年5月20日より全国順次公開
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Shamy