2018年にシアターコクーンで上演された舞台を、三浦大輔が監督と脚本、藤ヶ谷太輔が主演で映画化した本作。平凡なフリーター生活を送る主人公の裕一(藤ヶ谷太輔)が、あることをきっかけにあらゆる人間関係を断ち切り、逃避する姿が描かれた物語です。正直なところ、裕一は良い人間とは到底いえません。恋人と揉めても話し合いに応じず逃げたり、友人から都合の悪いことを言われて逃げたり、とにかく嫌なことから逃げ続けます。でも、彼のように何かから逃げたいと思う瞬間は誰にでもあるのではないでしょうか。そう考えると少しハッとさせられる部分もあります。
裕一を演じた藤ヶ谷太輔は、舞台版から継続して主演を飾り、その他に前田敦子、中尾明慶も続投しています。映画版では新たに、毎熊克哉、野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司が出演しており、それぞれキーパーソンを演じています。どの人物もそれぞれ裕一を見守っていて、特に恋人の里美(前田敦子)や、姉(香里奈)が裕一に怒りながらもどこか見捨てられない姿が印象に残ります。観る人の状況によってさまざまな人物の視点で観られる作品です。逃げ続ける裕一の姿を通して人間関係の大切さも考えさせられるので、自分に置き換えて観ても良いと思います。
もしデートで観る場合は、裕一のことを反面教師として観てください。彼はある出来事から恋人を怒らせてしまい、話し合いに応じず逃げ出してしまいます。裕一と同じ道を辿らないためにも、何か問題が起きた時にお互いきちんと話し合える関係なのか、これを機に見直してはいかがでしょうか。
若い皆さんの場合はどの人物の視点で観るのか気になります。裕一が逃げ続ける姿を通して、人間関係の大切さも学べるので、裕一を取り巻く人間関係を客観的に観察してみてください。でも、裕一のように都合の悪いことから逃げたり、いきなり人間関係を断ち切ることは真似しないでくださいね。
『そして僕は途方に暮れる』
2023年1月13日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト
©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会
TEXT by Shamy