これは期待通り、個人的に大好物なやつでした!グレタ・ガーウィグ監督×シアーシャ・ローナンというコンビを聞いただけでも、映画好き女子なら観ずにいられないと思いますが、そこにひっかからなくても、女子の皆さんの多くはストーリーにとても共感されると思います。原作は、世界中で愛されるベストセラー、ルイーザ・メイ・オルコットの「若草物語」。原作を読んだことがある人なら、本作を観ていくうちに「そうそう、こういうストーリーだった」と思い出すと同時に、原作の舞台が19世紀であるにも関わらず、国や時代の違いを問わず、現代の女性達の生き方に多くの繋がりを見出すでしょう。この物語に登場する四姉妹は、それぞれに生き方、価値観が違いますが、時代が変わっても女性達は同じことで悩みながら前に進んでいるのだなと、誰かしらに必ず共感できるはず。4人の中で1番現代的なのは、誰から何を言われようと、迎合することなく、自分の叶えたい夢に向かって進み、独自の価値観で生きることを貫く次女のジョー。まだまだ女性の生き方に選択肢がない時代で、奮闘する彼女の姿からは大きな勇気をもらえます。そして、エマ・ワトソンが演じる長女のメグは家柄よりも愛を選び、フローレンス・ピューが演じる四女のエイミーは一見器用な生き方をしているようでいて葛藤を抱えています。三女のベスは姉や妹達を優しく見守り、1番控えめですが、大きな試練と静かに向き合っているからこそ、人一倍大人なのだなとわかります。彼女達にはそれぞれに強さがあって、どの生き方も輝いて見えますが、女性が自分とは違う女性を理解する上でもとても優れたストーリーだなと改めて感じました。本作を観た上で原作と比べてみると、グレタ・ガーウィグ監督の味付け具合もわかりそうなので、本と原作の両方を楽しむのもアリですね。俳優陣も本当に豪華で、シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピューほか、姉妹の母親をローラ・ダーン、叔母をメリル・ストリープが演じていて、共演も見ものです。そして、ティモシー・シャラメが演じる、姉妹と幼馴染みのローリーが何ともセクシーで、惚れずにはいられませんよ(笑)。四姉妹の生き方を通して、映画の中でいろいろな人生を体感できる本作。女子必見の秀作です!
四姉妹のさまざまな恋愛模様が描かれているので、何かしら共感できる点はあると思いますが、どちらかというと恋愛の難しさのほうが印象的です。ロマンチックなシーンはもちろんありますが、過去の恋愛経験などが頭を巡り、デートで観ていても、自分の世界に入り込んでしまう可能性は否めません。今までで1番好きな人とのデートで観るならばオーケーですが、心に少しでもまだ引きずっている恋の火種がある人は、1人でじっくり観るか、仲の良い友達と観ることをオススメします。
キッズやティーンの皆さんも「若草物語」という小説は名前だけでも聞いたことがあるのではないでしょうか。時代を経ても色褪せないこのストーリーを、“今を生きる”女性監督が描いている点で、メッセージ性をより強く感じさせられる映画になっていて、原作を知っていても知らなくても本作を観れば、この物語を好きになるはず。四姉妹の物語なので女子の皆さんのほうが共感ポイントは多いと思いますが、ちょうど「女の子ってわからない」と思い始めている思春期の男子の皆さんにも、女子という生態を理解する手助けになるでしょう(笑)。どんな生き方でも、自分らしく生きる尊さを教えてくれるストーリーなので、勇気をもらえますよ。
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
2020年6月12日より全国順次公開
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト
TEXT by Myson