これは多くの方に観て欲しい1作です。「王の子どもが王になる時代はもう終わり、これからは頭脳を持つ者にこそチャンスがあるんだ」というメッセージのもと、観る者に勇気と希望を与えてくれます。本作は教育がいかに重要かということを訴えています。これはインドに限らず、格差社会が進んできている日本にもいえることだと思います。
類い希な数学の才能に恵まれながらも貧しい家庭に育ち、自らはケンブリッジ大学への進学のチャンスを手放すしかなかったアーナンド・クマール氏は、自分と同じような境遇の子ども達のために無料の塾を設立しました。本作は彼の実話を基に、一部フィクションを加えて作られた映画です。0の概念を生み出したのはインドの数学者であるという説があり、実際にインドから優秀な数学者がたくさん生まれているとご存じの方もいるでしょう。本作はそんなインドで人生を切り拓くために数学の才能を武器に闘う人達の姿が描かれています。
本作に登場するインド工科大学(IIT)は、国際的にもその研究水準が評価されている国立の理系大学で、合格率は1%の難関大学だそうです(映画公式サイトより)。本作でも語られていますが、IITに合格させるために富裕層の子ども達は高い学費を払って予備校に通っています。一方アーナンド・クマール氏は、貧しい家庭に生まれながら高い頭脳を持つ子ども達30名に1年間、衣食住の面倒も見ながら無償で教えているのです。詳しくは本編をご覧いただければと思いますが、観て損はしない作品です。今勉強をしている世代の子ども達、若者達、お子さんがいらっしゃる方、教育者や教育関連のお仕事をされている方、国のお偉い方にもぜひ観て欲しいです。
ボリウッド映画ならではのエンタテインメント性もあり、映画として純粋に楽しめるのでデートで観るのも良いと思います。ただ、とても現実的な展開もあり、観ながら現実に引き戻される可能性はあります。学生カップルは勉強にやる気が出るので、一緒に観て、今後はデートしながら勉強をする約束をするのも良さそうです。
勉強、学問がいかに大事か痛感させられる内容なので、皆さんにもぜひ観て欲しいです。上映時間が154分なので小学生には少しハードルがあるかもしれませんが、テンポよく展開するので中学生以上なら問題なく集中して観られるでしょう。親子で観るのもとってもオススメ。勉強を一緒に頑張っている友達を誘うのも良いですよ。暴力に頭脳で対抗するユニークなシーンも必見です。
『スーパー30 アーナンド先生の教室』
2022年9月23日より全国順次公開
SPACEBOX
公式サイト
Phantom Films, N&G Ent, Reliance Ent, HRX Films.
TEXT by Myson